オープンAIは、CEOのサム・アルトマンに7%の株式を付与することを検討している。これは、同社の営利企業化への転換を示唆するものである。アルトマンにとって初めての株式所有となる。
同社は非営利目的を掲げつつも、高額なAIモデル開発の資金調達を目的に2019年に営利子会社を設立。現在、オープンAIはさらなる資金調達に向け、US$1500億の評価額で約65億ドルの資金を募っている。
オープンAIの経営再編 – 株式付与と新たな戦略
オープンAIは、非営利組織としての使命を掲げつつも、近年は高額なAIモデルの開発費用をカバーするため、営利目的の子会社を設立している。そして現在、CEOサム・アルトマンに7%の株式を付与することを検討している。この動きは、アルトマンがこれまで株式を所有していなかったことから、同社の方針転換を象徴する重要な局面となる。
営利企業化への移行は、単なる経営戦略の変更にとどまらず、オープンAIの長期的な目標である「社会全体への利益還元」との両立を目指すものである。今回の再編は、より多くの資金を調達し、同時に公共の利益を守るという複雑な課題を解決するためのステップとされている。
一方、オープンAIは現在、公共利益を重視する企業形態である「パブリック・ベネフィット・コーポレーション」への移行も検討しており、同社の根幹にある「AIの社会貢献」という理念を保持する意向を示している。しかし、この構想の具体的なスケジュールはまだ決まっていない。
サム・アルトマンのリーダーシップと株式取得の背景
サム・アルトマンは、オープンAIの創設以来、そのリーダーシップを発揮してきた。彼はこれまで、株式を持たずに経営を行う異例の立場にあったが、今回の株式付与は初めての所有権となる。アルトマンは以前から「株式を持っていない理由について聞かれるのは疲れる」と冗談を交えて語っていたが、今回の決定は彼自身の意向とも一致している。
彼が株式を持たなかった背景には、オープンAIが設立当初から非営利組織として社会に貢献することを目的としていたことがある。アルトマン自身も、AI技術を安全かつ公正に発展させることが最優先であると主張し、個人的な利益を追求しない姿勢を示してきた。
しかし、同社の急成長と共に、より大規模な投資が必要となり、営利目的の子会社が設立された。これにより、アルトマンが株式を所有することも経営の一環として見直されたのである。今後、彼がどのようにリーダーシップを発揮し、株式の所有者としてもオープンAIを導いていくのかが注目される。
経営陣の相次ぐ退任 – ミラ・ムラティの意外な離脱
オープンAIのCTOであるミラ・ムラティが、退任する意向を発表した。この発表は、オープンAI内部に衝撃を与え、多くの従業員が「WTF」などの驚きの反応を見せたという。ムラティは、同社の主要プロジェクトであるChatGPTやDALL-Eの開発に深く関わり、技術の最前線で活躍してきた人物であり、その離脱は大きな損失となる。
ムラティは退任の理由として、自身の「新たな探求の時間と空間を作りたい」という個人的な理由を挙げているが、具体的な退職時期は未定であり、後任の選定に向けた協議が進行中である。彼女の退任は、オープンAIの過渡期におけるもう一つの出来事として捉えられている。
オープンAIは、昨年のサム・アルトマンの解任・復帰劇を経て、経営陣の刷新が続いている。今年だけでも、主要な幹部が数名退任しており、会社の構造が大きく変わりつつある。ムラティの退任もその一環であり、今後の経営体制がどのように整備されるかが焦点となる。
株式上場と新たな資金調達計画の展望
オープンAIは現在、さらなる資金調達に向けた準備を進めている。ブルームバーグの報道によれば、同社は約US$1500億の評価額で65億ドルの資金を募っているという。これにより、オープンAIは世界で最も価値のあるスタートアップ企業の一つとなる見込みだ。
同社の財務戦略は、AIモデルの開発にかかる莫大なコストをカバーするため、2019年に営利子会社を設立したことから始まった。これ以降、Microsoftをはじめとする大手企業からの投資を受け、急速に成長してきた。
現在の資金調達計画は、今後の事業拡大とAI技術のさらなる発展を支えるための重要なステップであり、同時に将来的な株式上場への布石とも見なされている。しかし、オープンAIが掲げる「AIを社会全体に利益をもたらす」という非営利的な側面とのバランスが、今後の経営において課題となる可能性がある。