編集部
GPUの供給不足が終わり、2024年第4四半期におけるグラフィックカード市場は大きな変化を見せている。NvidiaやAMDの最新GPUが店頭に並び、価格はリスト価格を下回ることも多い。特に中古市場では、従来の価格よりも安価で手に入るようになっており、買い手にとって絶好のタイミングが訪れている。
GPUの供給不足は過去のものに
2021年から続いたGPUの供給不足は、2024年に入りついに解消された。パンデミックや半導体の供給問題、さらには暗号通貨マイニングの需要が重なり、長らく市場にGPUが不足していたが、今では需要と供給が均衡し、購入者はかつてないほど選択肢が豊富になっている。特にNvidiaとAMDの最新GPUは、供給が潤沢であるため、価格も安定しており、リスト価格以下で購入できるケースも多い。
中古市場でも価格が大幅に下がっており、リスト価格を上回っていた製品が、現在では手ごろな価格で手に入る。これは、販売業者が在庫を確保し、スケーラブルな供給体制を整えた結果であり、スキャルパーの影響も大幅に減少した。もはや一部の製品をプレミア価格で購入する必要はなくなった。
また、以前は供給不足が深刻だったRTX 30シリーズやRDNA 2世代のカードも、今では在庫が豊富で、リーズナブルな価格で手に入ることが確認されている。このように、2024年はGPU市場にとって、供給の安定と価格の正常化が進んだ重要な年となっている。
市場にあふれるRTX 40シリーズとRDNA 3
現在のGPU市場は、NvidiaのRTX 40シリーズとAMDのRDNA 3世代の製品が主要な位置を占めている。これらの最新世代のグラフィックカードは、価格性能比の点で優れており、特にミッドレンジモデルは多くのゲーマーやクリエイターに支持されている。RTX 4090のようなハイエンドモデルは高価ではあるものの、RTX 4070やRX 7800 XTなどのミッドレンジカードは、1440pや4Kゲームに適した性能を提供しつつ、手頃な価格帯で購入できる。
さらに、IntelのArcシリーズも市場に登場し、これまでNvidiaとAMDが二分していた市場に新たな競争をもたらしている。特にArc A770は、16GBメモリを搭載しながらも手頃な価格で販売されており、エントリーレベルのユーザーにとって魅力的な選択肢となっている。こうした新しいプレーヤーの登場は、さらに価格競争を激化させている。
また、RDNA 3の登場により、前世代のRX 6000シリーズも価格が下落しており、これもエントリーやミッドレンジのユーザーにとって大きな魅力となっている。このように、GPU市場には多様な選択肢が増え、ユーザーのニーズに応じた購入が可能となっている。
NvidiaとAMDの競争激化がもたらす価格変動
NvidiaとAMDの間で続く競争は、GPU市場における価格の変動に大きな影響を与えている。特に2024年は、両社がミッドレンジからハイエンドモデルまで幅広いラインナップを提供し、価格競争が熾烈になった年である。AMDのRX 7900 XTやRX 7800 XTは、価格対性能のバランスが良く、NvidiaのRTX 4070やRTX 4080に対抗する形で販売されている。
この競争の結果、両社の製品がリスト価格以下で販売されることも珍しくなくなった。特にNvidiaのRTX 4070 SuperやRTX 4060 Tiなどのモデルは、競争力のある価格で提供されており、多くのユーザーに支持されている。一方で、AMDのRX 7600などのエントリーレベルの製品も、手頃な価格で性能の高い選択肢を提供している。
さらに、競争の激化により、GPUの新しいバージョンや特別モデルの価格引き下げも進んでいる。例えば、NvidiaのRTX 4080 Superは、RTX 4080よりもパフォーマンスがほぼ同等でありながら、約200ドル安く販売されている。このように、NvidiaとAMDの競争は、消費者にとって恩恵となり、今後も価格のさらなる引き下げが期待されている。
AI需要が引き起こすRTX 4090の高騰
NvidiaのRTX 4090は、AIチップの需要増加に伴い、2024年において価格が上昇しているモデルである。このカードは、AI研究やデータ処理など高度なコンピューティング作業にも利用されており、その結果として通常のゲーミング用途を超えた需要が存在している。特に米国の対中国輸出規制が影響し、供給が逼迫したことで価格がさらに高騰している。
RTX 4090はリスト価格で1600ドルから販売されていたが、現在では1800ドル以上で販売されることが一般的であり、一部のモデルでは2300ドルを超えることもある。また、在庫も限られており、市場での入手が困難になっている。このような状況は、AI用途の需要と供給の不均衡によるものであり、ゲーマーにとっては手に入れにくい製品となっている。
一方で、RTX 4090以外のモデル、特にミッドレンジからローエンドの製品は、供給が安定しており、価格も適正化している。したがって、AIや高度なデータ処理を必要としない一般ユーザーにとっては、他のモデルを選ぶ方が経済的であり、賢明な選択となるだろう。