編集部
Meta Quest 3Sは、Meta社の最新のVRヘッドセットとして登場した。Quest 2の後継機であり、デザインや価格帯において多くの共通点を持つが、ハードウェア面では大幅に進化している。
特に、新たに搭載されたSnapdragon XR2 Gen 2チップやカメラシステムにより、より高性能なグラフィックとミックスリアリティ体験が可能となった。しかしながら、見た目やフィーリングはほぼ同じであり、旧モデルからの買い替えを迷うユーザーも多いだろう。
進化したハードウェア：Quest 3Sの特徴
Meta Quest 3Sは、ハードウェア面で大きな進化を遂げている。特に注目すべきは、Snapdragon XR2 Gen 2チップの搭載だ。これにより、Quest 2よりも33%多いRAMとともに、よりスムーズで高精細なグラフィックが実現されている。また、カメラシステムも強化されており、フルカラーのミックスリアリティをサポートしている点が特筆すべきポイントだ。
デザイン面では、Quest 2に比べてヘッドセットの厚みが20%減少し、よりコンパクトになっている。これにより、装着感も改善され、長時間の使用でも疲れにくくなった。また、コントローラーも新世代のTouch Plusコントローラーにアップグレードされ、操作性が向上している。
バッテリー寿命は約2.5時間と変わらないが、新たなハードウェアの追加により、より多くの機能が利用可能になっている。特に、LEDライトによる暗所での操作性向上や、進化した手動追跡機能が魅力的である。
Quest 2からの継承と違い
Meta Quest 3Sは、Quest 2から多くの要素を受け継いでいる。まず、Quest 2と同じFresnelレンズが採用されており、視野角もほぼ同一である。しかし、これが逆にQuest 3Sの制約となっている面もある。例えば、より薄型のパンケーキレンズを採用しなかったため、視界の「スイートスポット」に制限が生じ、周辺視野がややぼやける傾向がある。
また、Quest 2と同様に、解像度は1,832×1,920ピクセルであり、これは特に大きな進化を感じられない部分である。ただし、RAMの増量やチップの強化により、パフォーマンスは確実に向上している。これにより、ゲームの読み込み時間が短縮され、よりスムーズな操作感が得られるようになった。
さらに、Quest 2で使い慣れたアクセサリーがそのまま利用可能であり、既存のゲームライブラリもほぼ完全に引き継がれている。この互換性の高さが、Quest 2ユーザーにとって安心感を与える要素である。
ゲーム体験の進化：Quest 3Sの実力
Meta Quest 3Sは、ゲーム体験においても大幅な進化を見せている。まず、Snapdragon XR2 Gen 2チップの搭載により、Quest 2では不可能だった4Kテクスチャやダイナミックライティングなどの高品質なグラフィックをサポートしている。このため、既存のゲームタイトルでもアップデートによって大幅に見栄えが向上している。
一部の新作ゲームは、Quest 3SやQuest 3にしか対応しておらず、Quest 2のチップでは処理しきれないことがある。これにより、Quest 2ユーザーは新しいAAAタイトルを楽しむには、アップグレードを考えざるを得ない状況が生まれている。特に「Alien: Rogue Incursion」や「Batman: Arkham Shadow」などの大作が、Quest 2では動作しない点が象徴的である。
また、Quest 3Sはカメラシステムの強化により、ミックスリアリティゲームでの没入感が大幅に向上している。Quest 2のモノクロパススルーとは異なり、Quest 3Sではカラーのパススルーが利用でき、よりリアルな体験が可能となった。
Meta Quest 3Sは買い換える価値があるのか？
Meta Quest 3Sは、性能面でQuest 2を大きく凌駕しているが、すべてのユーザーにとって買い換えが必須であるとは限らない。特に、VRを時折楽しむ程度のユーザーにとっては、Quest 2でも十分な体験が得られるだろう。しかし、新作ゲームの多くがQuest 3S専用となっているため、最新のVR体験を求めるなら、買い換えを検討すべきである。
また、ミックスリアリティを重視するユーザーにとって、Quest 3Sのフルカラーカメラは大きなアドバンテージだ。これにより、VRの世界に没入しながらも、現実世界とのインタラクションがよりスムーズに行えるようになっている。家族やペットがいる環境では、これが大きな利点となる。
さらに、バッテリー寿命やコントローラーの改良も、Quest 3Sに移行するメリットの一つだ。ただし、予算が限られている場合や、頻繁にVRを使用しない場合は、Quest 2を使い続ける選択肢も十分に有効である。