Microsoftは2024年版の新しいOfficeを発表した。今回のリリースは、サブスクリプションではなく買い切り型の「Office 2024」として提供されているが、その新機能は限定的で、サブスクリプション型のMicrosoft 365とは異なる。

新たに搭載された機能はExcelやPowerPoint、Outlookに一部追加されたものの、Microsoft 365ほどの大幅な機能強化は見られない。特に、今回のOffice 2024はセキュリティアップデート以外の追加機能が今後提供されないことが特徴だ。

Office 2024とMicrosoft 365の違い

Microsoftは、従来の買い切り型である「Office 2024」とサブスクリプション型「Microsoft 365」を明確に区別している。Office 2024は一度購入すれば永続的に使用できる「パーペチュアル」バージョンであり、追加料金は発生しない。一方で、Microsoft 365はサブスクリプション型で、定期的に新機能が追加される。

これに対して、Office 2024は新機能が追加されることはなく、セキュリティアップデートのみが提供される。また、Microsoft 365の方が新しい機能をすぐに利用できるため、特に法人向けには魅力的な選択肢となっている。Office 2016や2019、2021でも同様の傾向が見られたが、2024年版でもこの違いは一層顕著である。

価格面でも両者は異なり、Office 2024は一度の購入で済むが、Microsoft 365は継続的に料金が発生する。企業向けの導入にはこの違いが大きく影響するため、利用目的に応じて適切な選択が求められる。

Excel、PowerPoint、Outlookの新機能

Office 2024では、Excel、PowerPoint、Outlookにいくつかの新機能が追加されている。特にExcelでは、ダイナミックアレイによるデータの自動更新が可能となった。この機能により、新たに追加されたデータが自動的に反映され、手動での更新が不要になる。また、14種類の新しいテキストや配列関数が導入され、より柔軟なデータ処理ができるようになった。

PowerPointでは、スライドやプレゼンテーション全体のビデオ録画機能が追加された。これにより、発表内容を記録して共有することが簡単になった。さらに、リアルタイムのカメラフィードをスライドに挿入するCameo機能が強化され、プレゼンテーションに一層のインタラクティブ性を持たせることができる。

Outlookには、メッセージやカレンダーエントリを検索するための新しい機能が搭載され、さらに効率的に情報を管理できる。また、会議の開始・終了時刻を自動で数分調整する機能も加わり、複数の会議が連続する際のストレスが軽減される。

新しいOfficeテーマと細かな改良点

Office 2024では、Windows 11のFluent Designをベースにした新しいテーマが導入されている。このテーマは、より自然で一貫性のあるデザイン体験を提供することを目指しており、Windows 10でも動作する。Microsoftによれば、アプリ間の操作がよりスムーズになるとされている。

また、今回のアップデートでは、細かな改良もいくつか施されている。たとえば、Wordでクラッシュが発生した場合、すべてのドキュメントを自動で再度開く機能が追加された。これにより、作業中のデータが失われるリスクが軽減される。また、コメントへの「いいね」反応が追加され、フィードバックのやりとりが簡単になる。

さらに、Office 2024では、OpenDocument Format(ODF)1.4への対応も強化されており、ファイル互換性が向上している。これらの細かな改善は、特に長期間にわたってOfficeを使用するユーザーにとっては、作業効率の向上につながるだろう。

Office LTSC 2024向けの追加機能とサポート体制

Office 2024には、法人向けのLTSC(Long-Term Servicing Channel)エディションも存在する。このバージョンには、通常のOffice 2024には含まれない追加機能が搭載されている。たとえば、新たなアクセシビリティツールが含まれており、アクセシビリティリボンを活用することで、より使いやすい環境を提供する。

また、OneNoteでは描画機能が強化され、Androidデバイスを使って画像を挿入することが可能になった。一方、Excelの「Publish to Power BI」機能が削除され、Teamsも別途ダウンロードが必要となるなど、一部の機能削除が発生している。

サポート期間は2021年版と同様に5年間だが、Office 2016の10年間やOffice 2019の7年間と比較すると短縮されている。これもMicrosoftがサブスクリプション型への移行を促進するための一環であり、今後の動向に注目が集まる。

Reinforz Insight
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