Windows 11 24H2では、AI機能が大幅に強化され、ユーザー体験が一段と向上する。しかし、これらの新機能をフルに活用できるのは、AIに対応したハードウェアを備えたCopilot+ PCユーザーに限られている。AI搭載の新機能としては、画像の解像度を8倍に拡大する「Super-resolution」や、背景を瞬時に削除・修正できる「生成的消去」などが含まれる。
AI機能の進化:Copilot+ PC専用機能の展開
Windows 11 24H2では、AI機能の強化が大きな目玉となっているが、その多くは「Copilot+ PC」専用の機能として提供される。「Copilot+ PC」とは、AI処理を行うためのNPU(ニューロプロセッシングユニット)を搭載したPCを指し、従来のPCではこれらのAI機能をフル活用することができない。
これまでに導入されたAI機能には、Paintの「Cocreator」や、Photosの「Restyle」機能、リアルタイム字幕生成機能などがあるが、これらもCopilot+ PCユーザー限定だった。今回のアップデートで新たに追加されるAI機能も、同様に高性能なハードウェアが求められる。
特に注目すべきは、日常的な操作をサポートする「Click to Do」機能である。この機能は、画面上に常駐するアシスタントとして、画像やテキストの処理を瞬時に支援する。クリック一つで画像の背景削除やテキストの要約が可能になり、より直感的な操作が実現する予定だ。
画像編集を強化する「Super-resolution」と「生成的消去」
Windows 11 24H2のAI強化機能として、画像編集分野にも注目すべき改善が加えられている。まず、「Super-resolution」は、Photosアプリに新たに搭載される機能で、画像の解像度を最大8倍まで引き上げることができる。これにより、従来のPhotosやPaintの編集機能がさらに進化し、高品質な画像処理が可能となる。
特に、背景を簡単に消去したり、画像の特定部分を自動的に補完する「生成的消去」機能は、直感的な操作でプロレベルの編集ができる点が特徴だ。この消去機能は、選択した範囲を瞬時に認識し、自然な形で背景と調和するように画像を修正する。
また、生成的補完では、削除された部分に新たな要素を加えることも可能で、AIが即座に修正結果を提示する。これにより、画像の処理速度と精度が大幅に向上するだけでなく、従来の手動操作では難しかった複雑な編集作業も容易になるだろう。
ファイル検索を次のレベルに:AIによる自然言語対応の強化
Windows 11 24H2では、ファイル検索機能もAIによって大幅に進化する予定だ。この新機能は、従来のファイル名や拡張子に依存しない検索を実現し、ユーザーが自然言語で検索クエリを入力するだけで、目的のファイルを即座に見つけ出せるようになる。
例えば、過去の旅行写真を探す際、具体的なファイル名を思い出せなくても、「電車」「旅行」などのキーワードを入力すれば、関連するファイルが表示される仕組みだ。これにより、ファイル名を正確に記憶していなくても、簡単に必要なデータにアクセスできる。
この新しい検索機能はまずファイルエクスプローラーに導入され、その後、Windows全体の検索機能や設定アプリにも展開される予定である。さらに、検索速度も従来より向上しており、ユーザーの検索体験が劇的に改善されることが期待されている。
プライバシー問題を克服した「Recall」機能の再登場
Windows 11 24H2で復活する「Recall」機能は、かつてプライバシー問題によって廃止されたが、セキュリティの強化により再び登場することとなった。以前はデフォルトで有効化されていたが、今回のアップデートでは、ユーザーがオプトインする形で使用するかどうかを選べるようになっている。
「Recall」は、ユーザーのPC操作を記録し、特定の瞬間に戻れるようにする機能であるが、記録されたデータはすべてローカルに保存されるため、プライバシーの侵害リスクが低い。さらに、セキュリティ強化により、機密情報が記録されないように設定することも可能だ。
また、不要な場合は簡単に機能を無効化できる点も改善点の一つだ。Microsoftは、この機能の透明性を高め、データの暗号化や保護メカニズムを導入することで、ユーザーが安心して使用できるようにしている。