Intelの次世代CPU「Arrow Lake」シリーズは、新たなLGA1851ソケットを採用している。しかし、これまでのLGA1700プラットフォーム用のCPUクーラーも互換性を保ちながら使用できる。ただし、冷却性能や取り付けに関しては、いくつかの新たな制約が課せられている。

LGA1851プラットフォームの導入に伴う変化

Intelは次世代のデスクトッププラットフォームとしてLGA1851を導入し、これに対応する「Arrow Lake」シリーズを発表した。この新プラットフォームでは、ソケット形状がLGA1700から変更されたが、従来のCPUクーラーとの互換性が維持されている。これにより、ユーザーは既存のLGA1700対応クーラーをそのまま使用できるため、追加の出費を抑えることができる。

しかし、LGA1851ではCPUの接触面や取り付けメカニズムにわずかな調整が行われている。具体的には、Intelはソケットの位置をわずかに下にずらしており、これによってCPUの冷却効率が向上する設計となっている。この変化は、特にCPUコアが位置する「コンピュートタイル」の熱伝導を最適化するために行われたものであり、冷却ファンやヒートシンクの中心がより効果的に熱を逃がすようになっている。

これに伴い、CPUクーラーの取り付けに必要なマウント部品も微調整が加えられており、特にNoctuaのようなクーラーメーカーは、ユーザーが証明書を提出することで無料のマウントキットを提供するサービスを展開している。

CPUソケットの位置調整による冷却性能への影響

LGA1851の設計変更の中でも、特に注目すべきはCPUソケットの位置が従来のLGA1700から若干下に移動した点である。この微細な位置変更は、CPUの中心にあるコンピュートタイルをより効率的に冷却することを目的としており、冷却ファンやヒートシンクの基盤が適切に熱を吸収できるように調整されている。

従来のLGA1700対応クーラーは、そのまま使用可能だが、この新しい位置変更により、クーラーの接触位置が従来とわずかに異なる。そのため、クーラーの設置において、従来のモデルと比較して、わずかなズレが生じる可能性があるが、一般ユーザーには大きな影響を及ぼすものではないとされている。

しかし、冷却性能を最大限に引き出したいハイエンドユーザーにとっては、この微妙な位置ズレが重要となる。特に、数度の温度差がパフォーマンスに影響を与える場合、冷却性能にこだわるユーザーは新たな冷却対策を検討する必要があるかもしれない。

新たな取り付けメカニズム「RL-ILM」の導入

LGA1851プラットフォームでは、従来のLGA1700に比べて「RL-ILM」と呼ばれる新しい取り付けメカニズムが導入されている。この「RL-ILM(Reduced Load Integrated Lever Mechanism)」は、CPUクーラーの取り付け時の圧力を低減するために設計されており、特に高負荷がかかる状況でもCPUソケットが長期間にわたり安定して使用できるようにすることを目的としている。

従来のLGA1700では、CPUクーラーを取り付けた際、中央部に圧力が集中することが課題とされてきた。この圧力集中は、長期間使用することでCPUソケットの基盤に歪みをもたらし、冷却性能に悪影響を及ぼす恐れがあった。しかし、RL-ILMの導入により、圧力が均等に分散されるようになり、これまでの問題が軽減されている。

特に、ハイエンドマザーボードではRL-ILMの採用が進んでおり、冷却性能の向上とCPUの長寿命化が期待されている。一部のメーカーでは、この新しい取り付けメカニズムを標準搭載しているモデルも増えている。

互換性の課題とメーカーの対応策

LGA1851と従来のLGA1700との互換性は一定程度維持されているが、いくつかの制約が存在する。特に、LGA1700向けのクーラーの取り付け用フレームが、LGA1851ではそのまま利用できないケースがある。これは、新しいプラットフォームでCPUの位置が非対称になったことが原因である。

LGA1700の接触フレームは、Intelの標準的な取り付け機構を置き換え、圧力を均等に分散させるために設計されていた。しかし、LGA1851ではプロセッサの配置が非対称となったため、この接触フレームはそのままでは適用できなくなっている。この制約に対して、多くのクーラーメーカーが対応策を講じている。

例えば、Noctuaは既存のLGA1700用クーラーに対して、無料でLGA1851対応のマウントキットを提供している。ユーザーが購入証明を提出することで、このキットを入手できる仕組みだ。その他のメーカーも、同様のサービスを開始する動きが見られる。

また、新しいRL-ILMに対応するクーラーの設計や、CPUの冷却性能を最適化するための微調整が行われるケースも増えている。こうした対応によって、LGA1851プラットフォームでの冷却問題を回避し、互換性を維持しながらも最新の技術を活かした冷却システムを導入できるようになっている。

メーカー側の積極的な対応により、ユーザーは従来のクーラーを引き続き使用しつつ、必要に応じて最適な環境を整えることが可能である。

Reinforz Insight
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