編集部
Appleは、スマートホーム市場における新たな競争者として浮上する可能性が高まっている。
新たな報告によると、AppleはAmazonやGoogleに対抗するスマートディスプレイを準備中であり、その価格や機能についての詳細が明らかにされた。
従来のホームポッドシリーズに加え、Appleは新たなディスプレイ型デバイスを通じて
スマートホーム市場でのシェア拡大を目指しているという。
Appleの新たなスマートディスプレイの特徴
Appleが開発中とされる新しいスマートディスプレイは、AmazonのEcho ShowやGoogleのNest Hubに対抗する製品となる見込みである。このデバイスは「手頃な価格のiPadのようなスクリーン」として位置づけられ、家庭内の複数の場所に設置することを想定している。主な機能として、Apple TV Plusのストリーミング、FaceTime通話、ウェブ閲覧、そしてカレンダーやメモなどの計画アプリへのアクセスが含まれる。
このデバイスは、既存のiPadをスマートスクリーンとして使用するという以前の噂とは異なり、専用のスマートディスプレイとして新たに設計されたものである。Appleはこの製品を通じて、スマートホーム市場での存在感を強化することを狙っている。家庭の中で複数の場所にディスプレイを設置することで、統一されたAppleのエコシステムを構築し、ユーザーにシームレスな体験を提供することが目指されている。
価格については明示されていないが、Appleが競争力のある価格設定を行う可能性が高いと見られている。Appleがスマートホーム市場での遅れを取り戻すために、手頃な価格で広く普及させることが鍵となるだろう。
ロボティクス技術を搭載した高級モデルも登場
Appleはまた、より高級なスマートディスプレイとして、「ロボティックテーブルトップデバイス」の開発も進めている。これは回転するロボットアームの上にスクリーンが取り付けられたデバイスであり、価格は約1,000ドルとされる。このモデルは、通常のスマートディスプレイとは異なり、主にホームセキュリティの監視、ビデオ会議、そして高品質な音声によるメディア再生に重点を置いている。
このデバイスの最大の特徴は、AIを活用した高度な環境認識機能である。スクリーンがどの方向を向いているか、誰が画面を見ているのか、さらにどの人物が話しているのかをAIが認識し、それに応じた最適な操作を行うという。Appleはこれにより、従来のスマートディスプレイにはなかった次世代のインタラクティブ体験を提供することを目指している。
この高級モデルは、ホームオフィスや大規模な会議室など、特定の用途に特化したデバイスとして位置づけられており、一般家庭向けというよりも、プロフェッショナル向けの製品として市場に登場する可能性が高い。
AIが強化するAppleのホームエコシステム
Appleの新たなスマートディスプレイは、単なるハードウェアのアップグレードではない。Appleは、AI技術を駆使したホームエコシステムの強化を目指している。特に、Apple独自の「Apple Intelligence」と呼ばれるAI技術が、このエコシステムの中心に位置している。
Apple Intelligenceは、家庭内の様々なデバイスを連携させ、ユーザーの行動や環境に応じた自動化を実現する。例えば、部屋の温度や照明の調整、音楽の再生、さらには予定表の管理まで、すべてがAIによってシームレスに制御される。これにより、ユーザーは家庭内での作業や娯楽をより効率的かつ快適に行うことができるようになる。
また、Appleは新たに「Home Ecosystemチーム」を設立し、スマートホーム向けのOS「homeOS」の開発に取り組んでいる。このOSはApple TVを動作させるtvOSをベースにしており、より統合されたスマートホーム環境を提供することを目指している。
Amazonとの競争をどう突破するのか？
スマートホーム市場において、AppleはAmazonに大きく遅れを取っている。AmazonのEchoシリーズは、すでに広範なシェアを獲得しており、特に音声アシスタントであるAlexaの普及が進んでいる。しかし、Appleにはまだチャンスがあるとされている。
AmazonやGoogleが築き上げたスマートホーム市場でのリードは揺るぎないものの、両社ともに大きな技術革新を提供できていない状況である。この点をAppleは狙っており、AI技術を中心に据えた新たな体験を提供することで、遅れを取り戻そうとしている。特に、Appleの強力なエコシステムを活かしたシームレスなユーザー体験が、競争のカギとなるだろう。
Appleが参加している「Matter」標準も、競争を突破するための要素となり得る。この標準は、異なるメーカーのスマートホームデバイスを相互運用可能にするものであり、Appleがこれまで採用してきたクローズドなエコシステムの壁を打ち破る可能性を秘めている。