編集部
ミラ・ムラティがOpenAIの最高技術責任者（CTO）を退任し、独自のベンチャー立ち上げに向けて動き出している。彼女の新プロジェクトはAIや革新的な技術に焦点を当て、現在、ベンチャーキャピタル（VC）からの資金調達が進行中だ。
多くの投資家が次なる大きなAIスタートアップとして注目しており、ムラティがどのような道を切り開くかに期待が集まっている。
ムラティの電撃的な退任とその背景
2024年9月25日、ミラ・ムラティはOpenAIの最高技術責任者（CTO）を突然退任した。彼女の退任は、OpenAI内部だけでなく、テック業界全体に衝撃を与えた。ムラティはX（旧Twitter）で、自身の退任について「今が独自のベンチャーに集中する時期だ」と説明しており、この決断が彼女にとって最良のタイミングだったと語っている。
OpenAIのCEOであるサム・アルトマンも、この急な退任に驚きを隠せなかったが、彼女の判断を尊重しているという。6年以上にわたりOpenAIの成長に貢献してきたムラティは、同社の中核を担う人物であり、特にChatGPTやDALL-Eといった重要なプロジェクトの推進役でもあった。
ムラティの退任は、単なる人材の流出ではなく、彼女が次にどのようなプロジェクトを立ち上げるのか、その動向に業界の注目が集まっている。特に、AI分野における彼女の豊富な経験と洞察が、次のベンチャーにどのように活かされるのかが注目される。
次なるAIプロジェクトへの投資家の注目
ムラティの退任後、彼女の次なるステップに向けて、多くのベンチャーキャピタル（VC）が動き出している。特に、AI分野における彼女の知識と実績は、投資家たちにとって非常に魅力的であり、次のプロジェクトへの期待が高まっている。実際に、Business Insiderによると、複数の投資家がムラティに対して直接連絡を試みており、彼女の新たなベンチャーに資金を提供したいという意欲が見られる。
ムラティ自身は、まだ新しいプロジェクトについての詳細を公にしていないが、その動向には多くの憶測が飛び交っている。AI技術や革新的なソリューションに焦点を当てることはほぼ確実であり、彼女がかつて関わったOpenAIのプロジェクトとどう差別化を図るのかが注目される。
投資家たちは、彼女の次なるステップがAI業界に与えるインパクトを見逃すまいとしており、早期に投資するための準備を進めている。ムラティの技術力とビジョンが次世代のAI技術をどのように形作るのか、業界全体がその行方を見守っている。
OpenAI内部の人材流出と新興AI企業の台頭
ムラティの退任は、OpenAIが直面している人材流出問題の一端に過ぎない。近年、OpenAIは有能なAI研究者の採用と保持に苦戦しており、その背景には競争の激化がある。特に、AI業界における他のプレイヤーや新興企業との競争が激しくなっており、優秀な人材が次々と独自のベンチャーを立ち上げている。
ムラティもその流れに沿っており、彼女はすでに元同僚に接触し、新しいプロジェクトへの参加を呼びかけているという。また、Abacus AIのCEOであるビンドゥ・レディは、元OpenAI社員が設立したスタートアップの数が急速に増加していることを指摘している。
このように、AI業界では「元OpenAI」の肩書きを持つスタートアップが急増しており、OpenAI自身も彼らと競合する立場に立たされている。OpenAIの創業メンバーの一人であるイリヤ・スツケヴァーが設立したSafe Superintelligenceや、アンドレイ・カルパシーのEureka Labsなど、注目すべきスタートアップが次々と誕生している。
OpenAIの今後の展開とAI業界の変化
人材流出にもかかわらず、OpenAIは依然としてAI業界の主要プレイヤーであり続けている。2024年には新たに65億ドルの資金調達を成功させており、このラウンドにはMicrosoftやSoftBankなどの名だたる企業も参加している。OpenAIは現在、非営利の子会社から利益追求型のベネフィット・コーポレーションへの移行を進めており、これが同社の成長をさらに加速させる可能性がある。
また、ムラティの退任だけでなく、最高研究責任者（CRO）のボブ・マグルーや研究部門副社長のバレット・ゾフも退社しており、OpenAIの創業メンバー11人のうち、現在も残っているのはサム・アルトマンとウォイチェク・ザレンバの2人だけである。
こうした変化の中で、OpenAIが今後どのように進化し、業界をリードし続けるかが注目される。AI技術の進化が加速する中、競争はさらに激化するだろうが、OpenAIの持つリソースと影響力は、今後も業界に大きな影響を与え続けるだろう。