インテルの新型デスクトッププロセッサ「Arrow Lake-S」が、正式発売を前にして分解され、その内部構造が明らかになった。ハードウェア愛好家Madness727によって実施されたこの分解では、独自のチップレット設計が確認された。

8つの高性能コアと16の効率コアからなる計算タイルや、4つのXe GPUコアを持つグラフィックタイルが特徴的である。今回の分解で特に注目されたのは、異なるプロセスノードを使用する複数のタイルの組み合わせで、性能と電力効率を高める点である。

Arrow Lake-Sの特徴的なタイル設計とは

Arrow Lake-Sは、インテルが導入した新たなタイル設計を特徴とするデスクトップ向けCPUである。この設計では、異なる機能を持つ複数のタイルを組み合わせることで、効率的な性能向上を実現している。具体的には、8つの高性能コア(Lion Cove)と16の効率コア(Skymont)を搭載した計算タイル、4つのXe GPUコアを含むグラフィックタイル、そしてThunderbolt 4コントローラを統合したI/Oタイルなどが存在する。

これらのタイルは、プロセスノードを最適化するために異なる製造プロセスを用いており、計算タイルはTSMCのN3Bノード、グラフィックタイルはN5P、I/OタイルとSoCタイルはN6プロセスで製造されている。このような設計は、性能を最大化しつつ電力消費を抑えることを目的としており、次世代のCPUアーキテクチャにおいて重要な役割を果たしている。

チップの分解で明らかになった内部構造

ハードウェア愛好家Madness727が公開したArrow Lake-Sの分解写真では、インテルの最新CPUの内部構造が明らかになった。分解により、タイル設計を採用したチップレット構造が確認できる。この設計では、各タイルが異なる機能を担い、計算タイル、グラフィックタイル、I/Oタイル、SoCタイルの4つの主要なタイルが見られる。

興味深い点は、これらのタイルの配置に「ダミータイル」と呼ばれる空のタイルが含まれていることである。このタイルは構造的な支持のために存在するが、実際の機能は持たない。また、各タイルが異なるプロセスノードで製造されているため、特定の部品をアップグレードしやすくしている。この分解によって、Arrow Lake-Sが新たなチップレット設計の可能性を示していることが裏付けられた。

新世代のプロセスノードと性能向上への期待

Arrow Lake-Sの大きな特徴の一つは、異なるプロセスノードを組み合わせたタイル設計による性能向上である。計算タイルは最先端のTSMC N3Bノードを使用し、高い処理能力と省電力性を兼ね備えている。一方、グラフィックタイルにはN5Pプロセスが採用されており、優れたグラフィック性能を発揮する。I/OタイルとSoCタイルは、安定性が重視されるN6プロセスで製造されている。

さらに、これらのタイルを支える基盤層はインテルの22nm FinFET技術で作られており、性能と製造コストのバランスを取っている。この多層的なプロセスノードの採用により、Arrow Lake-Sは次世代のデスクトップCPUとして高い期待が寄せられている。多様なタイルの組み合わせが可能であることが、このCPUのカスタマイズ性と進化の柔軟性を大きく向上させている。

ノートPC向けArrow Lake-Hとの違い

デスクトップ向けのArrow Lake-Sと、ノートPC向けのArrow Lake-Hにはいくつかの重要な違いがある。Arrow Lake-Hは、モバイル向けに設計されており、計算タイルのコア数は6つの高性能コアと8つの効率コアに減少している。一方で、グラフィックタイルは強化され、8つのXe GPUコアを搭載することでグラフィック性能を向上させている。

I/Oタイルについても、ノートPC向けでは小型化されているが、必要な機能は維持されている。これにより、モバイル環境での電力効率と性能のバランスが最適化されている。これらの違いは、モバイルユーザーとデスクトップユーザーのニーズに応じて、最適な構成を提供するためのものであり、Arrow Lakeファミリー全体としての多様性と柔軟性を象徴している。

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