編集部
GoogleのPixel Foldは、発売当初から多くの課題を抱えていた。古いチップセットや不完全なソフトウェアが、ユーザーにとって不満の種だった。しかし、Android 15のアップデートにより、Pixel Foldは本来の姿に近づいた。
アプリペア機能の導入やバッテリー寿命の改善が、ユーザーエクスペリエンスを大きく向上させ、Pixel Foldはようやくそのポテンシャルを発揮し始めている。
Pixel Foldのハードウェアの問題とその改善
Pixel Foldが初めて市場に登場した際、ユーザーの多くはそのハードウェアに対して不満を抱いていた。特に、Googleが最新のTensor G3チップではなく、わずか3か月前にリリースされたTensor G2チップセットを採用した点が批判の的となった。Tensor G2は性能的には優れていたものの、同時期にリリースされた他のデバイスと比較すると、技術的に劣ると感じられる部分が多かった。
このチップセットの問題に加え、バッテリー寿命もユーザーにとって大きなストレス要因であった。リリース当初のPixel Foldは、わずか5時間程度のスクリーンオンタイムしか持たず、特に折りたたみ機能を多用するユーザーにとっては致命的だった。これらのハードウェアの問題が、Pixel Foldの評価を下げる大きな要因となっていた。
しかし、Googleはハードウェアの刷新こそできなかったが、ソフトウェアのアップデートを通じてこれらの問題を改善し始めた。Android 15の導入により、パフォーマンスの向上が見られ、特にバッテリー寿命の改善は大きい。ハードウェア自体の限界は残るものの、Android 15による最適化がPixel Foldを実用的なデバイスへと進化させたのである。
アプリペア機能の実装とその重要性
Google Pixel Foldのもう一つの課題は、サムスンのGalaxy Foldシリーズに長らく搭載されていた「アプリペア機能」が欠如していた点である。アプリペア機能は、2つのアプリを同時に表示し、保存して簡単に再起動できる機能だが、Pixel Foldにはこの機能が当初実装されていなかったため、ユーザーはマルチタスクに不便を感じていた。
Android 14ではこの機能の実装が期待されていたが、リリース時点では対応しておらず、ユーザーからは失望の声が上がった。しかし、Android 15のアップデートによって、このアプリペア機能がついにPixel Foldに実装された。これにより、ユーザーはメールとカレンダーなど、よく使用するアプリを一度に表示し、簡単にアクセスできるようになった。
アプリペア機能は、折りたたみスマホにおいて非常に重要な要素である。大画面を活かしたマルチタスクが可能になり、これまで以上に効率的に作業が行えるようになった。特にビジネスユーザーにとって、この機能の実装はPixel Foldを使う大きな理由となるだろう。
ディスプレイの連続性問題の解消
Pixel Foldが発売された当初、ユーザーが抱えていたもう一つの不満は、内外ディスプレイ間の連続性の欠如であった。アプリを内側の大画面で開いていても、外側の小さなディスプレイに切り替えると、アプリが再度起動されるか、操作が一時的に中断されることが多かった。この連続性の欠如は、特に折りたたみスマホの魅力である「シームレスな切り替え」を台無しにしていた。
Android 15のアップデートにより、この問題は大幅に改善された。Pixel Foldでは、内側のディスプレイから外側のディスプレイへスムーズに切り替えが行われ、アプリが途中で再起動することなくそのまま使い続けられるようになった。特に設定をカスタマイズすることで、外ディスプレイへの移行がよりスムーズになる。
この改善により、Pixel Foldは単なる「折りたたみ可能なタブレット」から、本来の「折りたたみスマホ」としての役割を果たすデバイスへと進化した。ハードウェアの制約をソフトウェアで補完するというGoogleのアプローチが、この問題解決に大きく貢献している。
Android 15によるバッテリー寿命の向上
Pixel Foldの初期の問題の一つとして、バッテリー寿命の短さが挙げられる。特に、内側の大画面を多用するユーザーにとって、わずか5時間程度のスクリーンオンタイムは非常に厳しいものであった。Tensor G2チップセットの効率性も問題視され、これがバッテリーの持ちに悪影響を与えていると考えられていた。
Android 15のアップデートがもたらしたバッテリー寿命の向上は、ユーザーにとって大きな救いとなった。このアップデートにより、夜間におけるバッテリードレインがほとんどなくなり、日中の使用でも6時間から6.5時間程度のスクリーンオンタイムが確保できるようになった。これにより、Tensor G2の非効率さを完全に覆すことはできないものの、日常使用において大きな改善が見られた。
Pixel Foldのバッテリー改善は、特に長時間利用するユーザーにとって歓迎すべき変化である。折りたたみスマホ特有の大画面と長時間使用を両立させるために、Android 15の最適化が大いに役立っている。