Appleが10月に発表したiPad mini 7は、外観こそ6世代目と変わらないが、内部にはいくつかの重要な改良が施されている。新しいA17 Proチップ、8GBのRAM、さらに拡張されたストレージ容量など、性能向上が評価されている。特に、前世代で問題となった「ジェリースクロール」の修正が注目されるが、大幅な進化を期待したユーザーにとってはやや物足りないとの声もある。
外観の変化はないが内部は進化
iPad mini 7は、外見的なデザインには大きな変更が加えられていない。前モデルである6世代目と同様、8.3インチの液晶ディスプレイを採用し、Touch IDも引き続き側面のボタンに内蔵されている。しかし、内部には確かな進化が見られる。Appleの最新のA17 Proチップが搭載され、処理速度が向上しており、RAMも従来の4GBから8GBに倍増された。この性能向上により、アプリの切り替えやマルチタスクがスムーズに行える。
さらに、ストレージ容量も強化されている。128GBの標準モデルに加えて、256GBおよび512GBのオプションが提供され、ユーザーのニーズに合わせた選択肢が広がっている。ただし、最新のiPhone 16 Proに搭載されているA18 Proチップが採用されなかった点には、一部のレビューでは失望の声もある。パフォーマンス自体は向上しているが、iPad Proほどの高性能を求めるユーザーには物足りない印象を与えるかもしれない。
パフォーマンス向上とApple Intelligenceのサポート
iPad mini 7における最大の注目点は、パフォーマンスの向上とApple Intelligenceのサポートである。新たに搭載されたA17 Proチップは、前モデルのA15 Bionicチップと比べて大幅な性能アップを実現している。これにより、ゲームやグラフィックの処理がより滑らかになり、日常的なアプリケーションの使用でも動作が軽快になっている。
さらに、Apple IntelligenceというAI機能も追加された。これは、iOS 18.1へのアップデートで利用可能になる予定で、ユーザーの使用習慣を学習し、よりスマートな操作を可能にする技術だ。しかし、レビュー時点ではこの機能はまだテストされておらず、今後のアップデートでその真価が問われることになるだろう。全体として、iPad mini 7はパフォーマンス面で堅実な進化を遂げているが、AI機能の実装が鍵を握っている。
画面問題「ジェリースクロール」を修正
iPad mini 7では、6世代目のモデルで指摘されていた「ジェリースクロール」問題が修正された。この問題は、縦画面でスクロールした際に、画面の一部が他の部分よりも遅れて更新されるという現象で、多くのユーザーが不満を持っていた。Appleはこの問題に対応し、新モデルではスムーズなスクロールを実現している。
スクリーン自体は8.3インチの液晶ディスプレイで、前モデルと同じサイズと解像度を持つ。しかし、スクロール体験の改善は、特にコンテンツを縦方向に閲覧することが多いユーザーにとって、大きなメリットとなるだろう。こうした細かな改良が、iPad mini 7を使いやすいデバイスとして評価を高めている。ディスプレイの品質向上により、日常的な使用における快適さがさらに増している。
微妙なアップデートに対する賛否
iPad mini 7は、確かにいくつかの技術的な進化を遂げているが、大きな変化を期待していたユーザーにとっては物足りなさを感じさせるアップデートでもある。特に外観に関しては、6世代目とほぼ同じデザインが維持されており、斬新さを求める声には応えられていない。Cnetのレビューでは、「2024年モデルは2021年モデルとほぼ変わらない」という指摘もある。
また、Apple Pencil Proのサポートや、USB-Cポートのデータ転送速度向上などの細かいアップデートも行われているが、これらが大きな購買意欲を刺激するかどうかは疑問が残る。Stage Manager機能が非対応である点も、特にマルチタスクを重視するプロユーザーにとっては残念なポイントとなっている。全体として、iPad mini 7は堅実な進化を遂げているが、劇的なアップデートを期待していた層には賛否両論が分かれるだろう。