編集部
Appleは最新のwatchOS 11.1 RCを公開し、Apple Watchに睡眠時無呼吸症候群の検出機能を追加した。
この機能は、新しいアルゴリズムを使用し、ユーザーの呼吸異常を追跡することで、
無呼吸症候群の兆候を検出し、医療的な治療が必要な可能性があることを通知する。
Apple Watchで睡眠時無呼吸症候群を検出
Appleは、watchOS 11.1のリリース候補版（RC）で、Apple Watchに睡眠時無呼吸症候群を検出する機能を追加した。この機能は、iPhone 16の発表時に初めて紹介され、呼吸が睡眠中に繰り返し停止する症状を検出する。睡眠時無呼吸症候群は、診断されていないケースが多く、世界中で10億人以上が影響を受けていると推定されている。治療を受けないまま放置されると、高血圧や2型糖尿病、心疾患など、健康に深刻な影響を及ぼす可能性がある。
この新機能では、Apple Watchが加速度センサーを使用して手首の小さな動きを監視し、通常の呼吸パターンの中断を検出する。これにより、ユーザーの睡眠の質や無呼吸の可能性を把握することができる。Apple Watchは、これらのデータを分析し、頻繁に発生する場合にはユーザーに通知する仕組みである。この通知には、無呼吸が発生した時間帯や、治療を検討すべき重要性についての情報が含まれている。
新アルゴリズムによる呼吸異常の分析
watchOS 11.1に搭載された睡眠時無呼吸症候群検出機能は、Appleの最新のアルゴリズムに基づいている。このアルゴリズムは、呼吸の乱れを分析し、無呼吸症候群の兆候を示す場合にユーザーに通知するものである。呼吸の乱れはすべてが異常というわけではないが、繰り返し発生する場合には睡眠時無呼吸症候群に関連することが多い。Apple Watchは、このデータをもとにユーザーの健康状態に警告を発する。
ユーザーは、ヘルスケアアプリで自分の呼吸異常を確認することができ、データは1か月、6か月、1年間の単位で表示される。このデータは「高い」か「低い」の2つのレベルで分類され、ユーザーは自分の睡眠の質を評価することができる。これにより、ユーザーは早期に異常を発見し、医療機関に相談する判断材料とすることができる。この通知システムは、Appleが収集した大規模な臨床データに基づき、精密に設計されている。
睡眠データの収集と医療現場での活用
watchOS 11.1では、Apple Watchが睡眠中の呼吸データを記録し、それをヘルスケアアプリで詳細に確認できる。このデータは、睡眠中の呼吸異常を長期間にわたって追跡し、異常が頻発する場合には医療的なアドバイスを受ける必要があるかどうかの指標となる。Apple Watchは、これらの呼吸データをPDF形式で出力し、ユーザーが医師と相談する際に活用できる資料を提供する。
Appleによれば、この機能は高度な機械学習技術を活用して開発された。Apple Watchが収集したデータは、無呼吸の兆候を示す時期や頻度を詳細に分析するため、医療の専門家が適切な治療を提案するための基礎資料として活用できる。この機能により、ユーザーは自分の健康管理をより精度高く行うことが可能となり、医療機関においてもデータの信頼性が向上する見込みである。
他OSの新バージョンと共に提供開始
watchOS 11.1のリリース候補版は、iOS 18.1、iPadOS 18.1、macOS 15.1、tvOS 18.1、visionOS 2.1と同時に提供されている。Appleは、これらの新バージョンを通じて、複数のプラットフォームにまたがる機能の強化を進めている。特に、Apple Watchに追加された睡眠時無呼吸症候群検出機能は、Appleのエコシステム全体での健康管理機能の一環として提供されている。
これにより、ユーザーは複数のAppleデバイスを通じて統合された健康データを管理することができるようになる。また、watchOS 11.1 RCは、最終的な公開バージョンの前にユーザーが新機能を試すことができる重要なステップである。今後の正式リリースによって、さらに多くのユーザーがこの新しい健康管理機能を活用し、日常生活における健康意識を高めることが期待されている。