Windows 11の最新アップデート「24H2」が登場した。このアップデートにより、インストール速度が大幅に向上し、更新プロセスがこれまで以上に効率的になった。特に、インストール時間の短縮とCPU使用率の低減が特徴で、システムリソースへの負荷が軽減された。
新機能「チェックポイント累積更新」の導入
Windows 11 24H2アップデートの大きな目玉は、「チェックポイント累積更新」と呼ばれる新機能である。この技術により、毎月の更新パッケージのサイズが従来より大幅に小さくなり、ダウンロードおよびインストールに要する時間が短縮されている。この仕組みでは、システムは欠落しているファイルのみを検出し、破損したマニフェストを修復して必要なファイルだけをダウンロードするため、ネットワーク帯域の節約にもつながる。
従来は、全体のアップデートパッケージをダウンロードしなければならず、そのために大規模なファイルの転送や余計なシステムリソースが必要であった。新しい手法では、更新に必要なデータ量が大幅に削減され、ユーザーは時間のロスを最小限に抑えられる。この技術の導入により、更新作業はスムーズに行われ、特にインターネット回線の遅い環境でも効率的にアップデートが完了する。さらに、アップデート作業中のシステムの安定性も向上している。
システム更新中のCPU使用率とRAM管理の最適化
24H2アップデートでは、システムリソースの効率的な使用も強化されている。特に、CPUの使用率が最適化され、動作中のプロセスに与える負荷が軽減されている。これは、動的なRAMの割り当てがより効率的に行われるようになったためであり、アップデート作業中にRAMが多くのタスクを処理できるようになったことが背景にある。
更新プロセスにおいては、従来のバージョンではアップデートが進行中にCPUやRAMに過剰な負荷がかかることがあった。これにより、他の作業が遅延したり、システムがフリーズするリスクが高まる問題があった。24H2では、これらのリソース管理が大幅に改善され、特に古いデバイスやリソースの少ないマシンでも快適な動作が可能になっている。
この最適化によって、更新作業中でも他のタスクに支障をきたすことが少なくなり、日常的な作業を中断せずに行える環境が整備された。これにより、アップデート時のユーザー体験はさらに向上している。
アップデート時間の短縮と再起動時間の改善
Windows 11 24H2アップデートでは、インストール時間と再起動時間も大幅に短縮されている。Microsoftのテストによれば、アップデートのインストール時間は最大で45.6%短縮され、再起動時間も39.7%改善されている。これにより、ユーザーはシステム更新にかかる時間を従来よりも大幅に削減できる。
更新プロセスが始まると、従来はシステム全体の動作が一時的に停止し、再起動までの時間が長引くことが多かった。しかし、24H2ではサービシングスタックの改善により、システムダウンタイムが最小限に抑えられている。これにより、再起動後の立ち上がりも迅速になり、特に時間に追われるビジネスユーザーにとっては大きな利便性が提供されている。
また、古いバージョンを使用しているデバイスにおいても、インストールと再起動にかかる時間がそれぞれ43.6%と33.5%改善されており、古いデバイスでも新しい機能の恩恵を受けられるようになっている。
ストアアプリの分離によるアップデートサイズの削減
24H2アップデートでは、システム更新の際のデータ容量も最適化されている。その一環として、ストアアプリの更新がシステム更新から分離され、不要なアプリの更新によるアップデートサイズの肥大化が防がれるようになった。これにより、システムアップデート全体のサイズは約200MB削減されている。
従来、Windows Updateはシステム全体のアプリケーションも一括して更新していたため、特にアプリの数が多いユーザーにとっては大規模なアップデートが頻繁に発生していた。しかし、今回の変更により、エクスプローラーなどのシステムアプリのみがWindows Updateを通じて更新され、それ以外のアプリはMicrosoft Store経由で個別にアップデートされる仕組みとなった。
この分離により、システム更新の効率が大幅に向上し、不要なダウンロードやインストールの時間を節約することが可能になった。また、更新プロセス中のトラブルシューティングも容易になり、ユーザーは重要なシステムアプリのみに集中して対応できるようになっている。