Googleは、次世代スマートフォンに搭載予定のTensor G5とTensor G6の詳細を明らかにした。
Tensor G5はTSMCの3nmプロセスで製造され、新たなImagination Technologies製GPUを搭載する。
さらに、これまで以上に高速なRAMを備え、Pixel 10およびPixel 11の性能を大幅に向上させる見込みである。
Pixel 10に搭載されるTensor G5の主な仕様
Googleの次世代スマートフォン「Pixel 10」に搭載されるTensor G5チップは、TSMCのN3Eプロセス技術で製造される。これは、従来のTensorチップよりも製造プロセスが進化しており、性能と省電力性が向上することが期待される。さらに、Googleは今回、従来のSamsungとの共同開発を断念し、独自に開発を進めている点が注目される。
Tensor G5は、1つの高性能コアCortex-X4と、5つのミッドレンジコアCortex-A725、そして2つの省電力コアCortex-A520を組み合わせた8コア構成を採用している。この設計により、ピーククロック周波数は最大3.1GHzに達する見込みで、従来のモデルよりも処理速度が向上する。また、メモリは4チャネル16ビットのLPDDR5X-8533またはLPDDR5-6400に対応しており、高速なデータ転送が可能である。
グラフィックス性能についても、新たに採用されたImagination Technologies製のIMG DXT 2コアGPUが1,100MHzで動作する。これにより、これまでのArm Mali GPUに依存していた時代から脱却し、さらなるパフォーマンス向上を目指している。Tensor G5は次世代のハイエンドスマートフォン市場において、SamsungやAppleの製品と競り合う強力な武器となるだろう。
Tensor G6:Pixel 11に向けたさらなる改良
Pixel 11に搭載される予定のTensor G6は、Tensor G5の後継としてさらなる進化を遂げる。Tensor G6は、TSMCのN3Pプロセス技術を採用しており、これにより、ダイサイズが113mm²に縮小され、さらなる省電力化と性能向上が期待される。また、Googleは引き続きSamsungとの共同開発を避け、自社での開発を進めている。
Tensor G6のCPU構成は、1つのCortex X930コア、6つのCortex-A730コア、1つのCortex-A530コアで構成されており、次世代のArm v9.4命令セットをサポートする。これにより、Tensor G5よりもさらに高い処理能力を発揮し、最大3.2GHzのクロック速度に達することが予想される。メモリ構成はTensor G5と同様にLPDDR5X-8533またはLPDDR5-6400に対応しており、Pixel 11のパフォーマンスを最大限に引き出す。
GPUも改良されており、Imagination Technologies製のIMG CXTP 3コアGPUが採用されている。これにより、グラフィックス性能がさらに向上し、より高度なビジュアル処理が可能となる。Tensor G6は、Googleのスマートフォン戦略における重要な要素であり、Pixel 11シリーズを競合他社の製品と競り合わせるための強力な武器となるだろう。
新GPUとメモリの進化がもたらすパフォーマンス向上
Tensor G5とTensor G6に搭載されるGPUは、従来のArm MaliシリーズからImagination Technologies製のGPUに変更されている。この選択は、Googleがパフォーマンスと効率性を両立させるための重要なステップであり、特にグラフィックス処理能力において大きな進化をもたらす。Tensor G5ではIMG DXT 2コア、Tensor G6ではIMG CXTP 3コアが搭載され、いずれも1,100MHzのクロック速度で動作する。
このGPU変更により、リアルタイムの画像処理やビデオ再生、ゲームパフォーマンスが大幅に向上する見込みである。特に、Tensor G6においては、次世代のグラフィックス技術として注目されているハードウェアレベルでのレイトレーシングが搭載される可能性もあるが、最終的な実装はまだ未定である。それでも、従来のTensorチップに比べて、描画性能や処理速度が格段に進化することは間違いない。
メモリの進化も見逃せない要素である。両モデルは、4チャネル16ビットのLPDDR5X-8533メモリに対応しており、前世代のTensor G4に比べて大幅にデータ転送速度が向上している。これにより、マルチタスクやデータ転送の高速化が実現し、ユーザー体験が飛躍的に向上するだろう。
Google、競合に匹敵するハードウェアで挑む
Googleはこれまで、ソフトウェア面での革新を武器にスマートフォン市場での地位を築いてきたが、Tensor G5とTensor G6ではハードウェア面でも競合他社に匹敵するスペックを打ち出している。特に、TSMCの最先端3nmプロセス技術を採用したことや、独自に開発したImagination Technologies製GPUの採用は、性能向上に大きく寄与している。
これにより、Pixel 10およびPixel 11は、SamsungのExynosシリーズやAppleのAシリーズといった他のハイエンドスマートフォンチップと肩を並べる存在になると見られている。また、Tensor G6に関しては、次世代のグラフィックス技術であるハードウェアレベルのレイトレーシングの搭載も検討されており、これが実現すれば、ゲームやビデオ処理において一段と強力な武器となるだろう。
さらに、メモリの高速化や、最大200MPに対応したイメージシグナルプロセッサ(ISP)など、カメラ性能やビデオ録画機能の進化も顕著である。これにより、Googleのスマートフォンは性能面で他社を圧倒し、次世代のユーザー体験を提供するデバイスとしての地位を確立することが期待されている。