Googleの次期スマートフォン「Pixel 10」に搭載予定のTensor G5のスペックがリークされた。Tensorシリーズ初となる完全内製設計で、Samsungへの依存を断ち切ることに成功した今回のチップには、大きな期待が寄せられている。しかし、CPUやGPUの変更が性能向上にどのような影響を及ぼすのかは未知数である。ソフトウェアとのシナジーが鍵となる中、Tensor G5はどこまで進化を遂げるのか注目される。

Tensor G5は完全内製化へ:Samsung依存からの脱却

Googleは次期Tensor G5チップにおいて、初めて完全な内製設計を採用した。これまではSamsungに製造を依存していたが、今回は全てを自社で設計することで競争力の向上を狙う。過去のTensorシリーズは他のチップセットメーカーと比較して性能面で後れを取ることが多かったが、内製化によってそのギャップを埋めることが期待されている。

Tensor G5はTSMCの3nmプロセスで製造され、チップのダイサイズは121mm²と大きめである。AppleのA18 Proが同じ3nmクラスで105mm²であることを考えると、G5の設計がより多くの機能を詰め込んでいる可能性が高い。Googleがこの新チップでどのように差別化を図るのか、今後の動向が注目される。

CPU構成の変更とその影響

Tensor G5のCPUは、従来のCortex-X4を引き続き採用する一方で、ミッドクラスとリトルクラスのコア構成に変更が加えられている。ミッドクラスには5つのCortex-A725コアが採用され、前世代のA720からの進化が見られるが、リトルクラスは2つのCortex-A520コアに縮小された。

この構成変更により、マルチコア性能の向上が見込まれるが、依然として競合の最新CPUに対してどこまで迫れるかは不透明である。特に、Cortex-X4を再び採用することについては議論が分かれており、新しいCortex-X925の採用を見送ったことが性能面でのボトルネックとなる可能性が指摘されている。

新GPUでのゲーム体験向上:レイトレーシングと仮想化のサポート

Tensor G5は、GPUにImagination TechnologiesのDXT-48-1536を採用し、従来のArm Maliから大幅な変更を行った。新しいGPUは1.1GHzで動作し、GoogleのTensorシリーズでは初となるレイトレーシングのサポートが追加されている。これにより、ゲームやグラフィックス処理の品質が大幅に向上すると見込まれる。

また、GPU仮想化機能もサポートしており、仮想マシン上でのアクセラレータを活用したグラフィックス処理が可能となる。これにより、複数のアプリケーションが同時に高度なグラフィック処理を行うことができ、ゲームだけでなくビジネス用途での活用も期待される。

AI性能の進化と新しいTPUの特長

Tensor G5では、TPU(Tensor Processing Unit)が強化され、INT8/FP16の演算性能が前世代比で40%向上している。実際の性能向上は14%にとどまるが、内蔵のRISC-Vコアによってカスタム処理やオンデバイス学習の新機能が追加された。これにより、より高度なAI処理が可能となる。

GoogleはこれまでPixelシリーズでAI機能を重視しており、今回のTPU強化により、さらに多彩なAIベースのユーザー体験が提供される見込みである。リアルタイム翻訳や音声認識の精度向上だけでなく、ユーザーの行動に応じた適応的な操作も可能になることが期待されている。

Reinforz Insight
ニュースレター登録フォーム

最先端のビジネス情報をお届け
詳しくはこちら

プライバシーポリシーに同意のうえ