テスラは2024年第3四半期の決算で、純利益が前年同期比17%増の22億ドルに達したことを発表した。売上も252億ドルと予想を上回ったが、市場の強気な期待には完全に応えられなかった。同社は同時に、2025年初頭により手頃な価格の電気自動車を発売する計画を再表明した。

かつての「モデル2」計画の復活も示唆されているが、その詳細は不明のままである。一方で、サイバートラックが米国市場で販売3位のEVとなり、同車の利益率も初めてプラスに転じたと報告された。

利益と売上の増加も市場の期待を超えた回復に課題

テスラの第3四半期の業績は、予想を上回る売上と利益を記録したが、投資家の期待には完全に応えられなかった。売上高は前年同期の234億ドルから252億ドルに増加し、9%の成長を示した。純利益も17%増となり、利益面で市場予想を上回る結果となった。だが、アナリストは利益率の回復が鈍いことや、車両納入のペースが期待を下回ったことを懸念している。

納車数は462,890台で、これは前四半期から6.3%の増加にあたるが、アナリストの見込みには達しなかった。この結果、テスラの株価は当初下落したが、決算発表後の取引では急反発を見せた。市場では、年間納車数が成長を維持できるかどうかが大きな焦点となっている。特に競争の激化と需要の減速が顕在化しているため、今後の成長戦略が問われている。

安価な電気自動車の投入計画再表明とモデル構成の不透明さ

テスラは今回の決算で、2025年初頭により手頃な価格の電気自動車を発売する計画を再確認した。このモデルはかつて「モデル2」として噂され、25,000ドル程度の価格が期待されていたが、一度は計画が中止されていた。投資家からの強い要請を受けて、イーロン・マスクはこの計画を再開することを表明したものの、実際に新モデルとなるのか、既存のモデル3の価格を引き下げたものになるのかは明言されていない。

さらに、マスクは2026年に発売予定の「サイバーキャブ」という二人乗り車両についても言及し、30,000ドルで販売する計画を示した。こうした新車種の投入により、テスラは市場での競争力を高め、低価格帯市場でのシェア拡大を狙っている。

生産コストの削減と競争の激化、中国市場での動向

テスラは報告で、一台あたりの生産コストを35,100ドルに削減したと発表した。このコスト削減は、安価な車両の開発や価格競争に対応するための重要な施策となっている。だが、価格引き下げにより利益率の低下が続いており、利益率の維持が課題となっている。

特に、中国市場ではBYDをはじめとする国内メーカーとの競争が激しく、テスラはシェア拡大に向けた戦略の見直しを迫られている。中国は世界最大の電気自動車市場であり、この市場での成功がテスラの成長の鍵を握る。テスラ車の販売は好調だが、競合企業の台頭と価格競争が脅威となっている。

サイバートラックの成功と新たな自動運転計画の発表

テスラは今回の決算で、サイバートラックが米国内でモデルY、モデル3に次ぐ販売台数を記録し、同車が初めてプラスの利益率に達したと発表した。これはテスラの高価格帯車両における収益性向上の兆しであると同時に、今後の高性能車市場での拡大を示唆している。

また、マスクは2025年に自社のライドシェアリングアプリを商用化する計画を明らかにし、従業員向けにベイエリアでのテスト運用を開始していると述べた。テスラはロボタクシーや自動運転技術の開発にも注力しているが、その実用性については依然として疑念が残る。市場では自動運転技術が成功するかどうかが注目されており、テスラの未来に大きく影響するだろう。

Reinforz Insight
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