Intelの新しいCore Ultra CPUシリーズが登場し、効率向上を目指した大幅なアーキテクチャ刷新が注目されている。新ソケット「LGA 1851」やチップレット設計の採用など、デスクトップ向けプロセッサに大きな変化がもたらされた。

電力消費と温度管理の改善が見られた一方で、DDR4やハイパースレッディングのサポートが失われ、全体的なパフォーマンスにおいても課題が残る結果となった。

Core Ultra CPUの登場とアーキテクチャの大幅刷新

Intelは新たなCore Ultra CPUシリーズを発表し、効率向上を重視した設計で市場に挑んでいる。今回のシリーズでは、LGA 1851ソケットや3nmプロセスの採用、デスクトップ向け初のチップレット設計が導入されており、アーキテクチャ全体に大幅な変更が施された。

これに伴い、従来のDDR4やハイパースレッディングのサポートが失われたが、コア数やスレッド数は以前と同じままとなっている。この新シリーズは、特に省電力性能や温度管理の改善を目的としており、Intelが長年課題としてきた高い電力消費を解決する意図が見て取れる。

これまでのi9-14900Kでは高負荷時の熱暴走が問題であったが、Core Ultra 9 285Kではそれが改善され、より安定した動作が期待される。

効率向上の成果と残る課題

Core Ultraシリーズでは電力消費の改善が明らかで、特に高負荷時の温度が抑えられている点が評価される。実際、Core Ultra 9 285Kでは360mmの水冷クーラー使用時でも熱暴走が発生せず、従来モデルに比べて冷却効率が向上している。

しかし、全てが改善されたわけではなく、シングルコア性能では旧モデルを下回る場面も見られた。生産性アプリケーションにおいては、依然として高いパフォーマンスを発揮するものの、特にゲーミング用途ではRyzen 7800X3Dに対して劣勢となっている。

効率重視の設計が性能全般に影響を及ぼしている可能性があり、特定のシーンでは期待した結果を出せなかったのが現実である。

ゲーミングと生産性におけるパフォーマンスの評価

Core Ultraシリーズは、ゲーミングにおいて最高のパフォーマンスを追求する製品ではない。特にRyzen 7800X3Dと比較すると、フレームレートや応答性の面でやや遅れを取る。しかし、Intelはゲーミング性能よりも生産性用途での優位性を重視しており、多くのワークロードでCore Ultra 9 285Kがトップの座を維持している。

シングルコア性能の低下が課題として残るが、マルチコア処理や動画編集などでは依然として高いパフォーマンスを発揮している。また、電力効率の向上が総合的な評価を押し上げており、プロフェッショナルユーザーには魅力的な選択肢となり得るだろう。

高コストなアップグレードが求められる新プラットフォーム

Core Ultraシリーズの導入に際して、ユーザーは高額なアップグレードを覚悟しなければならない。新しいLGA 1851ソケットに対応したマザーボードが必要であり、既存のDDR4メモリを使用することもできないため、DDR5メモリへの移行が必須となる。これにより、全体的なコストが大幅に増加する。

さらに、これまでのプラットフォームからの移行を検討するユーザーにとっては、追加投資が不可避である。電力効率の向上は確かに魅力的だが、そのために求められるコストを正当化できるかは各ユーザーの使用状況に依存する部分が大きい。

Reinforz Insight
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