Meta Platforms(旧Facebook)は、その創業以来、SNS分野で圧倒的な存在感を示してきた。しかし、現在の成長のカギを握るのは、人工知能(AI)への積極投資である。同社は、広告収益の維持を軸に効率化を進め、同時にAI開発に巨額の資本を投じる方針を明らかにした。
2025年末までに株価が603ドルに達するとの予測があり、さらに2030年には995ドルに到達するとされる。Zuckerberg氏が打ち出した「効率の年」の成果が、その背景にある。
Metaの成長軌跡:IPOからAIへの転換
Meta Platformsは2012年のIPO以降、急速に成長し、株価は約1393%もの上昇を記録している。当初はFacebookとして知られていた同社は、SNSプラットフォームで大きな成功を収めたが、次第にその事業を拡大。InstagramやWhatsAppの買収を経て、巨大なSNSエコシステムを築き上げた。しかし、2023年以降の同社はこれまでとは異なる新たな局面を迎えた。
AI技術に特化した投資を推進することで、Metaは単なるSNS企業からテクノロジーの革新者へと変貌を遂げつつある。 その一環として、2024年に50億ドルの自社株買い戻しと同時に配当を開始したことが市場の注目を集めた。株価は2024年の年初から約64%上昇し、今後のさらなる上昇が期待されている。同社はSNS広告を主力事業としながらも、AIやVR(仮想現実)分野への進出を進めており、その成長は一過性ではなく、長期的な基盤を持つものである。
AI投資が牽引する新たな戦略
Metaは人工知能(AI)技術への積極的な投資を通じて、競争力をさらに高めようとしている。CEOのマーク・ザッカーバーグによると、同社のAIアシスタント「Meta AI」は2024年末までに世界で最も使用されるAIになる見込みである。この取り組みは同社の次世代の成長を支える重要な柱であり、広告収益の拡大と共に、AIの商用化が収益を押し上げることが期待されている。
同社のAIへの注力は、データセンターへの巨額投資にも表れている。2025年にはAI研究開発を支えるため、年間40億ドル規模の設備投資が計画されている。また、スマートフォン向けに開発されたLlamaモデルは、従来よりも小型かつ高速なAI処理を可能にし、AIを多くのユーザーに届けることを目指している。これにより、Metaはテクノロジーの普及と商業化を両立させ、AI市場での主導権を確立する戦略を進めている。
2030年に向けた収益・株価の予測と分析
Meta Platformsの株価は、2025年に603ドル、2030年には995ドルに到達するとの予測が出されている。この間、広告事業の維持とAI開発による成長が鍵を握る。アナリストは、2025年以降も強力なフリーキャッシュフローの確保が企業の競争力を保つ要因になると見ている。Metaは効率化戦略により、2023年にはフリーキャッシュフローが430億ドルに達しており、これが株主への還元にも貢献している。
また、同社の2025年以降の売上は年平均15%の成長が見込まれており、特にAIと広告収益の相乗効果が期待されている。さらに、2030年にはネット収益が910億ドルを超える見通しであり、収益の多様化と効率化が株価の上昇を支える要因となる。株式市場においても、Metaは引き続き成長株として高い評価を受けており、長期的な投資先として注目を集めている。
持続可能な未来へ:再生可能エネルギーと効率化の影響
Metaは2030年までにカーボンニュートラルを達成する計画を掲げており、再生可能エネルギーの利用がその基盤を支えている。2023年時点で、同社の運営は100%再生可能エネルギーに支えられており、これにより運営コストの削減と持続可能なビジネスモデルの確立を目指している。また、新しいデータセンターも再生可能エネルギーで完全に運営される計画である。
同社はエネルギーコストの低減と環境負荷の削減を両立させることで、長期的な競争力を強化する方針だ。風力発電や太陽光発電の技術進歩がエネルギー価格を大幅に引き下げることが期待されており、2030年までには現在のエネルギーコストが25~50%削減される見通しである。これにより、Metaは経済的な効率性を保ちながら、持続可能な成長を実現する企業としての地位を確立することを目指している。