Metaは、OCPサミット2024にて新たなデータセンター向けスイッチ「Minipack3」を発表した。このモデルはBroadcomの最新チップ「Tomahawk 5」を搭載し、51.2Tbpsのデータ転送速度を実現している。Minipack3は、64ポートのOSFP対応と最大128ポートの400GbEを備え、高密度なネットワーク構成に対応。さらに、省エネルギー性能も強化されており、最大消費電力2100W以下で運用が可能とされる。
Metaの次世代スイッチ「Minipack3」の登場
Metaは、データセンター向けインフラの強化を目的に、次世代スイッチ「Minipack3」をOCPサミット2024で発表した。Minipackシリーズは2019年からMetaのネットワーク基盤を支えてきたが、今回のMinipack3はその最新モデルであり、51.2Tbpsという膨大なデータ転送容量を実現している。
この進化は、AIやデータ分析における膨大なトラフィック需要に応えるためのものであり、Metaのデータセンター全体の効率化に貢献することが期待されている。Minipack3のデザインは、オープン・コンピュート・プロジェクト(OCP)の基準を満たし、既存のシステムへの適合性も考慮して設計されている。
64ポートのOSFP(Octal Small Form-factor Pluggable)を搭載し、ポートあたり最大400GbEの転送速度に対応するため、これまで以上に高いデータ転送能力が求められる次世代のネットワークに対応できる構成となっている。
Metaは、このスイッチの開発により、クラウドインフラ全体の接続性とパフォーマンスを強化し、未来のデータセンター構築に寄与するとしている。このMinipack3の導入は、単にネットワーク速度を向上させるだけでなく、インフラ全体のスケーラビリティも大幅に強化することが目的である。
これにより、今後さらに増大するデータトラフィックに柔軟に対応できる、強固な基盤の整備が進む見通しだ。
Broadcom Tomahawk 5チップ搭載で51.2Tの帯域を実現
Minipack3の中心となるBroadcom製「Tomahawk 5」チップは、51.2Tbpsもの転送帯域を実現する高度なスイッチングチップである。このチップは、Metaの大規模なデータセンター運用に不可欠な超高速通信能力を支える心臓部であり、Metaのネットワークインフラを次世代へと押し上げる。
Tomahawk 5は、単一のデバイスでこれまで以上に高密度な通信を可能にし、特にAIとビッグデータ処理の需要に応える設計となっている。Tomahawk 5は、ネットワーク通信の効率を高めるため、800Gおよび400Gの光モジュールにも対応している。
これにより、従来の通信技術と比較して大幅な帯域拡張を実現し、従来のシステムを遥かに上回るパフォーマンスを提供する。また、Metaはこのチップを通じて、今後のデータトラフィック増加への対応や、エネルギー効率の改善にも取り組んでいる。
このTomahawk 5の導入により、Metaは単に通信速度を高めるだけでなく、効率的な通信処理を可能にするためのインフラ全体の最適化も進めている。新型チップの搭載は、Metaのネットワークインフラが今後のデータ増加に対応し、より高度な技術基盤を構築するための重要なステップと位置付けられる。
エネルギー効率を追求した設計 – 低消費電力と高速通信の両立
Minipack3は、従来よりも高いエネルギー効率を目指し、特に消費電力の最小化に注力した設計が特徴である。Metaによると、Minipack3は最大消費電力2100W以下で運用可能であり、一般的なスイッチングデバイスと比較しても省エネ性能が向上している。
これは、コパッケージドオプティクス(CPO)技術を採用することにより、電力消費を最適化していることが背景にある。CPO技術は、光と電子の接続を密にすることで、より低い消費電力で高性能な通信を実現するものである。
これにより、単に通信性能を向上させるだけでなく、エネルギー使用量の削減にも寄与しており、データセンター全体の運用コスト削減にもつながる。また、背面には効率的な電源とファンが配置されており、長期運用時の安定性も確保されている。
Metaは、このような省エネ設計を取り入れることで、持続可能なインフラ構築にも寄与する意向を示している。低消費電力と高パフォーマンスの両立は、将来的なデータセンター拡張においても重要な要素となり、より環境に配慮した運用が可能となる。
次世代インフラを支える400GbE/800GbE対応の技術革新
MetaのMinipack3は、400GbEおよび800GbE対応のポートを備え、次世代インフラに必要な高性能通信を実現している。これにより、大規模なAIクラスターや超高速なリモートストレージの構築が可能となり、データセンターの柔軟性と処理能力が飛躍的に向上する。
こうした技術革新は、Metaが将来のデータ需要に対応し、高速なネットワーク環境を提供するための重要な鍵である。400GbEや800GbEの採用は、今後のインフラ整備において大きな転換点となりつつある。Metaは、この技術により、AIやビッグデータ解析などで増大する通信要求をカバーし、安定したネットワーク接続を維持することを目指している。
また、これらの高速通信技術の導入により、データ処理や移行の速度が向上し、サービスの提供スピードも速まる見込みだ。このような高度な通信技術の導入は、単なる速度向上に留まらず、次世代のネットワーク基盤構築にも貢献する。
400GbE/800GbE対応は、将来の成長を見据えたインフラ戦略の一環であり、Metaがさらに進化するデータ需要に柔軟かつ持続可能に対応できる礎となる。