Appleの最新モデル「iPhone 16 Pro」は、インディーゲームからAAAタイトルまで対応可能とされるが、コンソールレベルのゲーム体験には依然として課題が残る。特に、容量問題と高価格帯のソフトウェアに対する制限が顕著であり、数十GBに及ぶデータダウンロードを必要とするゲームは、128GBのiPhoneには負担が大きい。
過去にはPCやコンソール向けにリリースされたタイトルの移植版がiPhone上で快適に動作し評価されてきたが、現状のハードウェアとソフトウェアの制約を考えると、真のコンソール代替には至っていない。今後、Apple Arcadeやクラウドゲーミングの利用が拡がりを見せる中で、モバイルゲームの進化とiPhoneの役割はどう変わるのかが注目される。
iPhone 16 ProでのAAAゲーム体験の現状と課題
iPhone 16 Proは、最新のAAAタイトルにも対応する処理能力を備えているが、ゲームの実用性に関しては課題が残る。たとえば、データ容量の問題がその一つであり、『Death Stranding』では約50GB、軽量なタイトルでも15GBの容量を要する。
このため、128GBのiPhoneを利用しているユーザーにとっては、頻繁なデータ削除やダウンロードが煩わしい要素となる。Appleはデータをオフロードし、ストレージを節約する方法を提供しているが、毎回の大容量ダウンロードは快適な体験とは言い難い。
また、ゲームの価格設定も議論を呼ぶ点である。『Assassin’s Creed Mirage』は50ドル、『Death Stranding』は40ドルと、コンソールゲームと同等の価格に設定されているが、スマートフォン向けゲームとしては高額に感じる人も多いだろう。
これらの点を踏まえると、iPhone 16 Proは従来のスマートフォンを超えた性能を提供する一方で、コンソールの完全な代替とは言えない。Appleは今後も容量や価格帯の問題を解決する手段を模索し、モバイルでの快適なゲーム体験を提供する必要がある。
移植版ゲームがiPhoneに与える新たな可能性
iPhoneでは、AAAタイトル以外にも過去の名作が移植され、手軽に楽しめる環境が整っている。2014年のPS3版『Grid Autosport』が2017年にiOSに移植されて以来、現在も評価の高いレーシングゲームとして位置付けられており、また、『Wreckfest』や『Resident Evil 7』のiPhone移植版も最新のiPhone Proで快適に動作している。これらは通常10ドル以下の価格設定で、必要なストレージ容量も比較的少ないため、スマートフォンに適しているといえる。
WIREDの報道によると、これらの過去の名作がスマートフォン上で快適に動作することで、iPhoneがコンソールゲーム体験を補完する役割を果たすと期待される。また、Apple Arcadeを通じて、質の高いインディーゲームも楽しめることが、ユーザーの選択肢を広げている。
過去の名作やインディー作品が、スマートフォンゲームの評価を高める中、iPhone 16 Proが既存のコンソールにない独自の魅力を発揮することが今後の鍵となるだろう。
サブスクリプションとクラウドゲーミングの未来
iPhone 16 Proのゲーム体験をさらに広げるのが、Apple ArcadeやXbox Cloud Gamingといったサブスクリプションやクラウドゲーミングである。Apple Arcadeでは、かつては「HBO的存在」を目指したが、現在はエンゲージメントに重点を置きつつ、豊富なタイトルを提供している。
Netflixも『Hades』や『GTA』のリマスター版などを提供し、モバイルでの良質なゲーム体験を提供している。これらのサービスにより、ユーザーは高品質のタイトルを低価格で幅広く楽しむことが可能である。
さらに、Xbox Cloud GamingはSafari経由のプログレッシブウェブアプリとして利用でき、インターネット接続さえあれば、iPhone 16 ProでもPCやコンソール向けタイトルが楽しめる可能性が広がっている。Antstream Arcadeのレトロゲームなども、懐かしいゲームを手軽にプレイできる点で好評を博している。
サブスクリプションやクラウドゲーミングの進展により、iPhoneが「どこでもゲーム」を可能にするデバイスとしての存在感を強めており、今後もこの流れが加速するだろう。