電子商取引の巨人、Amazon.com Inc.は、Microsoft CorpやGoogleが検索エンジンに組み込むジェネラティブAI(生成型AI)と競合する形で、ウェブストアの商品検索にChatGPTのようなスタイルを導入する計画だ。Bloombergが最近の求人情報をもとに報じている。

Amazonの生成型AI関連の求人

Amazonの求人情報では、シニアソフトウェア開発エンジニアを募集しており、“Amazon Searchを対話型の体験に変え、ユーザーが問い合わせをする、商品を比較する、パーソナライズされた提案を受け取るためのインタラクティブな対話体験を再構想している”と記載されている。そして、”このビジョンをすぐに顧客に提供するために、Amazon全体で最も優れた才能を求めている”と同社は述べている。

AmazonのスポークスパーソンであるKeri Bertolinoは、求人情報についてはコメントを控えたが、”全てのビジネスでジェネラティブAIへの大規模な投資を行っている”とメールで述べた。

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対話型の商品検索は、Amazonの主要な小売ビジネスの要素を再構成する可能性がある。アプリやホームページの上部にある検索バーは、特定の商品を探そうとする何百万人ものショッパーにとってデフォルトのゲートウェイとなっている。今年初めに行われたJungle Scoutによる調査では、米国のショッパーの半数以上がAmazon.comで商品検索を開始しており、これはGoogleよりも高い割合である。

MicrosoftやAlphabet IncのGoogleなどによるジェネラティブAIの初期の導入は、基本的な質問への応答でエラーが発生するなどの問題があった。しかし、それらは、強化されたMicrosoft BingやGoogle検索がユーザーにより価値のある商品検索方法を提供できる可能性を示している。

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Amazonも生成型AIに注力

Amazonの検索体験は、結果の大部分が広告や他のスポンサーコンテンツに割かれていることで、近年批判されてきた。ジェネラティブAIは大量のデータを使って大規模な言語モデルを組み立て、プロンプトに従ってテキストや画像を生成するのに役立つ。Amazonの最高経営責任者(CEO)であるAndy Jassyは先月の決算発表会見で、この技術は「ほぼ全ての顧客体験を変革する驚くべき機会を提供する」と述べている。

Amazonのクラウドコンピューティング部門であるAmazon Web Servicesは、今年4月にジェネラティブAIの進歩に依存する一連のサービスを発表したが、まだ広範にリリースされていない。また、同社はAIツールを使用して広告キャンペーンの写真やビデオを作成するためのチームを組織していると、報じられている。

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商品検索の顧客体験向上に期待

AmazonのジェネラティブAIへの投資は、電子商取引業界における顧客体験の再定義という観点から見ると、画期的な一歩であると言える。ChatGPTのような対話型AI技術を商品検索に導入することで、ユーザーは具体的な質問に対する答えを見つけたり、商品を比較したり、パーソナライズされた提案を受け取ることが容易になる。これは消費者にとって価値のある機能であり、Amazonのプラットフォーム上でのショッピング体験を大きく向上させる可能性がある。

しかし、このような技術革新は同時に、一定の課題をもたらす可能性がある。ジェネラティブAIの早期導入は、基本的な質問への応答でエラーが発生するなど、一部の問題を示している。Amazonはこの問題を解決し、顧客に信頼性の高いサービスを提供するために、高度なAIモデルの訓練と調整に注力する必要がある。

また、Amazonの検索体験が広告やスポンサーコンテンツに対して重きを置きすぎているとの批判がある中で、新たな検索体験がどのように広告と組み合わさるのか、またそれがユーザー体験にどのような影響を及ぼすのかについては、引き続き注意深く見守る必要があるだろう。

全体として、Amazonのこの新たな取り組みは、AIと電子商取引の融合による革新的な可能性を示しており、業界全体の進歩を後押しすることとなる可能性がある。しかし、その成功は実装の詳細と、具体的なユーザーフィードバックに大きく依存するであろう。

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