Google「Search Generative Experience(SGE)」を徹底解説

新たなGoogle検索体験「Search Generative Experience」が登場。AIが生成した回答がGoogleの検索結果上部に表示される新しい検索エンジンが、ついにGoogleから発表されました。Googleは、回答を生成するのに役立ったウェブサイトを引用します。

これまで噂に囁かれていたコードネーム「Project Magi」が生み出した新しいAI駆動型Google検索エンジンです。ただし、現時点では、この新たなGoogleの「Search Generative Experience（SGE）」にアクセスするには、Google Labsの待機リストを通じてのみ可能となっています（日本語版の展開は未発表）

この記事では、Google SGEに関する詳細な解説をお届けします。

「Search Generative Experience(SGE)」とは：新たなGoogle検索の使い方

出典：Google

新しいGoogleの検索体験では、検索結果一覧の上部にAIが生成した回答が表示されることがあります。Googleは、その回答が「実験的な生成AI」によるものであるとしつつ、その後に質問への回答が続きます。

検索に対する対話型の回答を生成

回答はボックスで囲まれています。Googleは、その回答を生成するために使用したウェブサイトを引用します。それらのサイトはクリックして詳細を掘り下げることができます。また、追加の質問をしたり、右上のトグルボタンをクリックして深く掘り下げることもできます。

Googleは「AIによって生成された主要な情報のスナップショットが表示され、詳細を探るためのリンクが付いています」と説明しています。拡張ボタンをクリックして深い回答を表示させると、生成AIからの追加の回答が表示されます。

またGoogleショッピングの結果などの検索体験にも適用されます。GoogleのSGEは、Googleショッピンググラフから350億の商品リストを取り込むことができ、これは1時間に18億回更新されるとGoogleは語っています。生成AIはほぼリアルタイムで速く更新する必要があり、一部の回答を提供します。

例えば「プールパーティー用のBluetoothスピーカー」のような特定の商品を検索する際に、Googleはどの商品を検討するべきかについて適切な回答を提供します。AIが生成した回答全体を通して、Googleは画像付きのクリック可能なボックスでウェブサイトを提供します。これにより、ウェブサイトに移動してさらに詳しく情報を確認できます。

Googleによると、「生成AIの回答ボックスの色は、特定の旅行タイプや質問の意図自体を反映するように変更されます」とのこと。

追加質問による人間らしい対話を実現

さらに追加のプロンプトを「追加の質問」ボックスに追加に入力することで、質問を続けることもできます。その後、Googleは追跡回答を生成します。

Googleは次のように説明しています。「質問から質問へとコンテキストが引き継がれ、あなたが自然に探求を続けるのを助けます。また、ウェブコンテンツへの有益な飛び出しポイントや、あなたが掘り下げることができるさまざまな視点も見つけることができます」。

また「会話モードは、追加の質問や、より複雑な情報の探求に特に有用です」とGoogleは説明しています。

Googleは次のように付け加えています。「AIを使用して、前の質問の内容を理解します。以前の質問からコンテキストを引き継ぎ、質問を再構成して意図をより正確に反映します」。これにより、Googleの新検索体験はユーザーの意図や質問により適切に応えることが可能となります。

新たなGoogle検索体験「Search Generative Experience(SGE)」の仕組み

「PaLM」など活用しているテクノロジー

Googleは、この新しい検索体験が「さまざまなLLM（大規模言語モデル）」を使用していると述べています。これにはMUMやPaLM2などが含まれますが、それに限定されるわけではありません。

Googleによれば、この検索体験は「出力中に提示された情報を裏付ける高品質のウェブ結果を特定するなど、検索に特化したタスクを遂行するように意図的に訓練されています」とのこと。

YMYL領域や信頼性が担保できないコンテンツは回答を提供しないケースも存在

Googleが回答を提供しないケースもあります。Googleの検索部門の副社長であるLiz Reid氏は、「Googleはあなたが問いかけるすべてに対して回答を提供するわけではありません。Googleは、より安全な問い合わせに対する回答を表示するこの新バージョンのGoogle検索に対して慎重に取り組んでいます。」と述べている。

例えば、医療分野に関する質問や、財務に関する質問に対してはGoogleは回答を表示しないかもしれません。GoogleはYMYL（Your Money, Your Life＝あなたのお金、あなたの生活）カテゴリーについては安全を重視しています。GoogleはYMYLを公民的情報にも拡大しています。

またGoogleは次のように説明しています。「私たちのランキングシステムが潜在的に有害で、憎悪的で、あるいは露骨なコンテンツによって人々をショックや不快感を与えないように設計されているのと同様に、SGEはそのようなコンテンツを回答に表示しないように設計されています」。

Googleはこの新しい検索体験について、「情報の品質が極めて重要な特定の質問についての回答を生成する際には、さらに厳しい基準を設けています」と付け加えています。この新しい検索体験は、「信頼性の高い情報源によって裏付けられた情報提供のレスポンスに、さらに重点を置いています」とGoogleは伝えています。

つまりGoogleのシステムが回答に対する自信が低い場合、Googleは「AIによる回答を生成しないことを目指しています」と述べています。さらに、露骨な内容や危険なトピックについては、Googleは回答を生成することを避けます。

情報の引用とリンク

GoogleがBardを立ち上げたとき、引用元とリンクが欠如していると批判されました。しかし、SGEでは、引用元へのリンクを健全に行い、エコシステムを支える方法と捉えることができます。

この検索体験で生成される明確な回答は特定のウェブサイトから成り立っており、それらの回答を構成するウェブサイトもサムネイル画像、タイトル、URLと共に回答内に目立つ形で表示され、引用元のウェブサイトにクリック可能な形でリンクされています。

Googleは生成AIで回答を構築し、引用を表示するために、ソース間で事実の裏付けをします。Googleは、情報の品質を理解するために長年にわたって研究を続けていますが、誤った情報が提供されないように徹底している姿勢は変わりません。

SGE（Search Generative Experience）を利用するメリット

Googleの新しい検索エクスペリエンス、SGE（Search Generative Experience）を利用するメリットについてまとめると、以下のような点が挙げられます。

効率的な情報取得： SGEはAIが生成した回答を検索結果の上部に表示します。これにより、ユーザーは必要な情報を一目で見つけることができ、情報を探すための時間が短縮されます。

信頼性と透明性： Googleは、AIが生成した回答を裏付けるためのソースとなるウェブサイトを引用します。これにより、ユーザーは情報の信頼性を自身で確認することができます。また、これは情報の透明性を高め、誤情報の拡散を防ぐ助けになります。

深い情報探求： SGEは、ユーザーがさらに深く情報を探求するためのツールを提供します。たとえば、各回答の右上にあるトグルボタンをクリックすると、より多くのソースからの情報を得ることができます。これにより、ユーザーは一つの質問に対する様々な視点や詳細な情報を得ることができます。

情報の品質： Googleは、特に医療や金融などの重要な分野で、情報の品質を確保するために特別な注意を払っています。SGEは、ユーザーが安心して信頼できる情報を得られる環境を提供します。

出版社との連携： SGEは出版社やコンテンツ制作者へのリンクを強調して表示します。これにより、ユーザーは情報のソースを直接訪れてさらに詳しい情報を得ることができます。これはウェブ上の情報エコシステムを支え、出版社やコンテンツ制作者への認知度とトラフィックを高める助けとなります。

これらのメリットは、ユーザーがより効率的に、より深く、より安全に情報を得ることを可能にします。SGEは、Google検索の進化の一環として、ユーザーの情報取得体験を大いに豊かにするでしょう。

SGE（Search Generative Experience）の日本語対応は？いつリリース？

記事執筆時点でSGEは英語版のみが発表されており、Google検索の日本語版にいつ対応するかどうかは不明です。本メディアでも逐一情報をアップデートしていきますが、気になる方はGoogleの公式サイトなどで、モニタリングしましょう。

まとめ

SGE（Search Generative Experience）は、GoogleがAI技術を用いて提供する新しい検索エクスペリエンスです。これは、ユーザーが情報をより効率的に、かつ深く理解できるようにするためのものです。

SGEの最大の特徴はAIが生成した回答がGoogleの検索結果リストの上に表示される点です。これにより、ユーザーは必要な情報をより迅速に取得できるでしょう。また、Googleはその回答を生成するために使用したウェブサイトを明示することで、信頼性と透明性を確保しています。

しかし、その一方で、SGEが全ての質問に対して回答を提供するわけではないという点に注意が必要です。特に医療や金融といった、情報の品質が極めて重要となる分野では、Googleは保守的な立場を取ることが明らかにされています。これは、情報が誤解を招く可能性があるからです。

さらに、Googleはこの新しい検索体験を通じて、コンテンツ制作者へのリンクをより健全な形で提供しています。これは、ウェブ上の情報エコシステムを支える重要な要素となります。

全体的に見て、SGEはGoogleの検索エクスペリエンスをより進化させるもので、情報の質と信頼性に重きを置いています。しかし、その効果や影響については、ユーザーが実際に使用し、フィードバックを提供することで初めて明らかになるでしょう。