インテルの最新モバイルプロセッサ「Core Ultra 9 285H」が、未発表にもかかわらず、Geekbenchのベンチマークデータベースに登場した。この新型CPUは、最新アーキテクチャ「Arrow Lake」を採用し、前世代の185Hを圧倒する性能を記録した。シングルコアで2665点、マルチコアで15330点を達成し、他の高性能CPUと並ぶレベルに到達している。
さらに、6つのLion Cove Pコアと10個のSkymont Eコアで構成されるという独自のコア設計も注目される。この構成は通常のEコアクラスターを超えた特異なものだが、これが性能向上に貢献していると考えられる。ノートPC市場での競争力を強化するこのプロセッサの正式発表が待たれる。
Intel Core Ultra 9 285Hの新設計がもたらす性能向上のメカニズム
Core Ultra 9 285Hは、Lion Cove Pコア6つとSkymont Eコア10個で構成される、従来の枠を超えた独自の設計が特徴である。一般的にEコアは4コア単位でのクラスターを形成するが、本チップは10個のEコアを備え、ハイパースレッディングを採用せず16の論理コアを実現している。
この設計は、高いマルチコア性能をもたらすために最適化されていると見られ、特にノートPCのようなモバイル環境で性能と電力効率を両立するために重要な役割を果たすだろう。一方、Meteor Lakeでも見られたLP-Eコアの搭載の可能性が示唆されるが、GeekbenchはLP-EコアとSkymont Eコアの区別を行わないため、確定的な情報は得られていない。
しかし、この複数コア構成の採用が同時に効率向上にもつながっている可能性があり、これまでのIntel製品にない競争力を示すこととなるかもしれない。より高度なアーキテクチャを実装することで、次世代のモバイルCPU市場におけるIntelの存在感を大きく押し上げる一手となると考えられる。
前世代を凌駕するベンチマーク結果とその意味
Intel Core Ultra 9 285Hが達成したGeekbenchスコアは、特筆すべきものである。シングルコアで2665点、マルチコアで15330点という数値は、前世代のCore Ultra 9 185Hと比較して著しい向上を示しており、Snapdragon X EliteチップやAppleのMシリーズに並ぶ水準に位置している。
これにより、モバイル市場でのパフォーマンスの新基準が生まれる可能性がある。しかし、シングルコア性能においてはSnapdragon X Eliteが2857点を記録し、Core Ultra 9 285Hが若干劣るため、競争は激化するだろう。
一方で、IntelのLunar LakeやAMDのRyzen 9などと同等のパフォーマンスを実現し、エコシステムの構築に向けたIntelの戦略が感じられる。今回の結果がバッテリー駆動ではなく壁電源でのテストに基づくものである可能性も高く、性能とエネルギー効率のバランスを市場にアピールするため、CESでの発表が注目される。
Arrow LakeアーキテクチャとIntelの今後の戦略展望
Arrow Lakeアーキテクチャは、IntelがノートPC市場で競争力を高めるべく設計された最新技術の集大成である。特に、効率面での改良が施されており、前世代のデスクトップ版Core Ultraで見られた期待外れの評価を覆す可能性を秘めている。
Intelはこれまでデスクトップでのパフォーマンス向上に注力してきたが、Arrow Lakeによりモバイル分野での競争力も強化している。この新アーキテクチャの導入により、IntelがAMDやAppleの独自アーキテクチャと対抗する道筋が示されたといえる。
CESなどのイベントでの正式発表が期待される中、競争激化が予測されるモバイルCPU市場で、Intelの次の一手がどのような形で示されるかに注目が集まる。