トランプ氏の次期大統領選勝利が確定すれば、彼のメディア企業「トランプ・メディア&テクノロジー・グループ」(NASDAQ: DJT)は、注目を集める可能性がある。同社が運営するソーシャルメディア「Truth Social」は、トランプ氏が直接メッセージを発信するプラットフォームとして、特に支持者層からの需要が高まることが予測されている。

しかし、MetaのFacebookやイーロン・マスクのX(旧Twitter)といった大手が市場を支配している状況で、Truth Socialが競合に対抗できるかは疑問が残る。短期的には、トランプ氏の発言やニュースサイクルによる株価変動が続くと見られるが、倍増を狙える安定成長には慎重な見方もある。

トランプ・メディアの急成長は競合プラットフォームに打ち勝つか?

トランプ・メディア&テクノロジー・グループが運営するTruth Socialは、トランプ氏が発信の場として積極的に利用することで成長の基盤を築いてきた。だが、米国市場ではMetaのFacebookやInstagram、イーロン・マスクが率いるX(旧Twitter)が圧倒的なユーザー数を誇る。Metaは30億以上のアクティブユーザーを抱え、Snapも4億人超のユーザーを日々惹きつける。この市場環境の中でTruth Socialが台頭するには、独自の付加価値を示すことが必須であるが、現時点では具体的なユーザー数の公表もなく、その存在感は依然として希薄である。

また、Xがアプリストアでニュースアプリのトップに立つ状況も、Truth Socialにとっては不利である。選挙関連ニュースに敏感なユーザーの多くがXを訪れ、迅速かつ生の情報を入手しようとする傾向が強まっているからだ。このように大手プラットフォームがシェアを握る中、Truth Socialがいかにしてその存在感を増すかが今後の課題となるだろう。

株価の乱高下と成長の不確実性

トランプ・メディア&テクノロジーの株価は、トランプ氏の選挙活動や社会的動向に敏感に反応し、大きな変動を繰り返してきた。デビュー直後には上昇と急落が交互に発生し、選挙期間中には一時的な上昇が見られたが、その後は再び下降した。特に7月には暗殺未遂事件をきっかけに上昇したものの、持続的な成長を示すことなく再度の下落が続いている。

こうした不安定な株価動向は、トランプ氏個人の影響力に強く依存していることを示唆する。24/7 Wall St.によれば、DJTは今後も短期的な取引で利益を狙う対象とされる見込みであり、長期的な成長への期待は限定的だという。つまり、トランプ氏の発言や行動が直接的に株価に反映されるため、投資対象としての安定性には疑問が残る。政治やニュースに左右されやすい銘柄として、投資家には慎重な対応が求められる。

今後の展望と投資家への示唆

仮にトランプ氏が大統領に再任された場合、Truth Socialの注目度は増す可能性があるが、それが直接的に株価倍増につながるかは不透明である。トランプ氏の大統領就任はTruth Socialの利用促進につながると予測されるものの、現行の大手SNSの影響力や広がりと比べれば、その立場は依然として脆弱である。

トランプ・メディアの将来を楽観視するには、Truth Socialが独自性や新たな市場価値を打ち出すことが必須であり、さらなるユーザー獲得に向けた施策が鍵となるだろう。24/7 Wall St.が示すように、投資家にとっては、安定的な成長を見込める他の投資先を検討することが賢明な選択といえる。

Reinforz Insight
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