データセンター向けCPU市場において、AMDがついにIntelを売上で上回るという歴史的な転換が起きた。2024年第3四半期の収益で、AMDは35億ドル、Intelは33億ドルと、両者の間で競争が激化している。しかし、その一方でAI業界を支配するNvidiaは、第2四半期に263億ドルのデータセンター収益を記録しており、CPUメーカー2社の合計をも大きく上回っている。
NvidiaのGPU需要が高まる一方で、サーバー市場では引き続きCPUの需要も高い。AMDの最新Epycプロセッサは、IntelのXeonと比べ高い性能を誇り、価格性能比に優れた製品として評価を受けている。しかし市場シェアでは、Intelが依然として圧倒的な優位を維持しており、出荷台数ではIntelが77%、AMDが23%という割合に留まっている。Nvidiaが先行するAI分野での競争に加え、IntelとAMDによるサーバー市場の主導権争いは今後も熾烈さを増す見込みである。
AIブームとGPUの圧倒的需要がNvidiaを後押し
サーバー市場での急成長は、AI技術の普及とデータセンター需要の高まりが主な要因である。特にGPUがAIワークロードに不可欠な要素となり、その中でもNvidiaの影響力は計り知れない。同社はAIトレーニングや推論用の「アクセラレータ」として高性能GPUを提供し、各データセンターでの圧倒的な需要を担っている。
これにより、Nvidiaは第2四半期に263億ドルのデータセンター収益を計上し、AMDとIntelの合計をも大きく上回る規模を示した。これには、AI分野での需要急増が背景にある。
GPUはAI処理においてCPUと比べて高速な並列処理が可能であり、その性能はAI研究の根幹を支えるものとなっている。特に近年では、AIの複雑なワークロードが求められるため、複数のGPUを連携させたシステムが必要とされ、NvidiaのGPUはその高性能で市場を独占している。AIの加速とともにこの需要がさらに拡大する可能性があり、Nvidiaがデータセンター分野での主導的地位を揺るぎないものとしている。
AMDのEpycプロセッサとIntel Xeonの競争構図の変化
AMDがサーバー市場でIntelを上回る売上を記録した背景には、同社のEpycプロセッサの進化がある。従来、IntelのXeonプロセッサがデータセンターでの定番であったが、AMDは性能と価格性能比に優れた製品を提供することで、シェアを着実に拡大してきた。2024年第3四半期においては、AMDのデータセンター収益がIntelを上回る結果となったが、これは数年前までは考えられなかった転換点である。
具体的には、Epycプロセッサが高性能なマルチコア設計を採用し、データセンターのコストパフォーマンスを向上させたことが成功の一因といえる。
これにより、企業はIntelからAMDへの切り替えを検討する傾向が見られ、さらにIntelの財務状況が低迷している点もAMDの優位を支える要因となっている。出荷台数やシェアで依然としてIntelが優勢であるものの、AMDの戦略的な進出は、サーバー市場における競争の新たな局面を迎えさせた。
Intelの新CPUと市場回復への期待
Intelは苦戦を強いられているものの、新製品の投入による巻き返しを図っている。同社は近年、Granite Rapidsという新たなCPUアーキテクチャを発表し、データセンター向けに優れた性能を提供することを目指している。この新CPUは、従来のXeonプロセッサと比較してパフォーマンスの向上を実現しており、Wccftechなどの報道によれば、競合製品との比較においても高い評価を受けている。
Intelは長年、サーバー市場でのシェアを維持してきたが、近年の成長は停滞しており、AMDのEpycプロセッサの躍進に対抗する必要がある。Granite Rapidsはその打開策として期待されているが、AIやデータセンターの需要がますます多様化する中、これがIntelの地位をどこまで回復させるかは不透明である。市場回復の鍵を握るのは、今後の製品ラインアップと戦略次第といえるだろう。