編集部
Metaは、16歳未満の子供のソーシャルメディア利用を制限する新法に従う姿勢を示す一方で、その実施方法に関する懸念を表明している。特に年齢確認技術の信頼性について課題があるとし、保護措置が青少年や親にとって有益であるためには慎重な議論が必要だと訴える。
Metaのグローバル安全担当副社長アンティゴネ・デイビス氏は、親が子供のオンライン活動に関与し、適切な判断ができるようにしたいという意向があると述べ、親の承認と年齢確認を簡単かつ効果的に実現するためにはアプリストアやOSでのサポートが望ましいと強調した。
Metaが委託した調査によれば、オーストラリアの親の多くが子供のSNS利用に親の承認が必要とする法整備を支持している一方で、データ保護の観点からアプリストアの利用を好む意見もある。通信大臣のロウランド氏は、プラットフォームの遵守強化に向けた罰則も視野に入れていると述べた。
親の意向を反映した年齢制限の必要性とその背景
Metaが16歳未満のソーシャルメディア利用に親の承認を求める方針を支持する中、オーストラリアの親の大多数も同様の立場にある。Metaの依頼でIpsos Public Affairs Australiaが行った調査によれば、82%の親がアプリのダウンロードに際して親の承認を必須とする法的枠組みに賛成している。これは、親が子供のオンライン活動に対し関与を強めたいという意識を示すものだ。
また、親たちはプライバシーのリスクを軽減しつつ、青少年が健全なデジタル環境に触れるよう、責任あるSNS利用を求めている。年齢制限の導入は、無秩序な情報過多や不適切なコンテンツから青少年を守るための手段であり、その責任がソーシャルメディア企業に課せられるべきだという社会的な要請が背景にある。
Metaも年齢確認技術の改善を模索し、親と青少年の負担を軽減するシステムの実現に向けた意向を示している。だが、青少年保護が実際にどのように実現されるかは、議論が求められる重要な課題である。
技術的課題とアプリストア利用の意義
年齢制限の実施においては、年齢確認技術の信頼性が大きな課題となる。Metaのグローバル安全担当副社長アンティゴネ・デイビス氏は、政府の意向に沿う形での年齢制限の導入に同意を示す一方で、保護策の実効性について深い議論が不十分であると指摘した。この指摘は、技術の過度な依存が予期せぬリスクをもたらす可能性があることを示唆している。
調査によれば、親の75%がアプリ内よりもアプリストアの方が個人データの安全性に信頼を寄せており、年齢確認の場所としてアプリストアが適していると考えている。これにより、企業が独自に開発する年齢確認システムの負担を軽減し、親と青少年のプライバシーリスクも最小限に抑えることが可能となる。アプリストアの活用は、年齢確認とデータ保護を両立させる有効なアプローチといえるだろう。
法整備によるコンプライアンスの強化と社会的責任
オーストラリア政府は、ソーシャルメディア企業に年齢制限の実施を義務付け、遵守を確保するための罰則導入を視野に入れている。通信大臣ミシェル・ロウランド氏は、「ソーシャルメディアは社会的責任を負うべきだが、現状ではそれが果たされていない」と述べ、今年中に実施に向けた具体的な措置を進める方針を示している。
この法整備は、企業が利用者の行動やコンテンツの影響を理解していることを前提とし、社会全体の利益を守るための新たな枠組みを構築する試みである。プラットフォームの影響力が増す中で、青少年保護と社会的責任を企業がどのように果たすかが問われている。