米国株式市場において、マイクロソフト、アマゾン、メタ、アルファベット、アップル、エヌビディア、テスラの7社が「マグニフィセント・セブン」として名を馳せている。しかし、Bank of Americaのマイケル・ハートネットが2023年に指摘したように、これらの企業の急成長は市場の構造的リスクをはらんでいる点も見逃せない。
AIブームや電気自動車市場の発展に支えられたこれらの企業は、S&P 500の影響力を高め、2024年に入っても市場トップを占めているが、その一極集中が投資家にとって大きなリスク要因になり得るとされる。
ハートネットはインフレや利上げが企業収益に与える影響を警告し、株価の高騰が長期的な安定に必ずしも繋がらないと述べた。AI分野の有力株エヌビディアや高PERで評価されるテスラのように、異常な高評価が続く銘柄が市場全体のバランスを崩す可能性があるため、慎重なリスク管理が求められる状況である。
巨大企業が市場に与える影響力とそのリスク
マグニフィセント・セブンのテクノロジー大手7社は、AIや電気自動車といった革新分野で急成長を遂げ、市場全体に大きな影響を及ぼしている。S&P 500における影響力は32.2%に達し、米国株式市場の構造を変える一因となっているが、Bank of Americaのマイケル・ハートネットはその影響力が市場のリスク要因にもなり得ると警鐘を鳴らしている。
AIを活用するエヌビディアやデジタル広告分野で存在感を持つアルファベットは、技術的な優位性を持ちながらも、その時価総額の高さがリスクとして挙げられる。
特に、テスラやエヌビディアのような異常な高PER銘柄が一時的な成長で市場全体に重くのしかかる構図が見られ、投資家はこれらの企業の成長力が市場全体に与える短期的・長期的な影響を冷静に判断する必要がある。市場構造の偏りが一部のテクノロジー株のみに依存する現状は、かつてのITバブルのようなリスクを内包しているともいえる。
インフレと金利上昇の影響が企業収益を直撃する可能性
米連邦準備制度理事会(FRB)は、インフレ対策として政策金利の大幅な引き上げを行っている。ハートネットによれば、当初4%を超える程度と見込まれていたフェデラルファンド金利は、その後わずか数か月で5.3%に達した。金利上昇による借入コストの増加や、将来的な資金調達コストの高騰が、テクノロジー企業にとっての大きな負担となり得る。
特に、設備投資や人材確保のために多額の資金を必要とするテスラやエヌビディアにおいては、これが成長を鈍化させる可能性もあるだろう。AIや電気自動車産業の革新にかかる期待が高い反面、金利上昇はその成長エンジンを冷却する一因となりうる。Bank of Americaの警告は、このような高リスク・高リターン銘柄に対する慎重な投資判断を促すものであり、特定分野に対する依存が過度に進む市場には常に注意が必要である。
過大評価のリスクと投資判断の重要性
マグニフィセント・セブンに名を連ねるテクノロジー株は、その革新性から大きな評価を得ているものの、その評価が実際の業績に見合わないリスクも指摘されている。テスラの株価収益率(PER)は88.0、エヌビディアは69.3に達し、S&P 500全体のPER 28.7と比較しても過大評価の側面が否めない。
アルファベットやメタのように、収益性が比較的安定した企業もあるが、これらが市場全体をけん引し続ける保証はない。特にAIや電気自動車の分野は急速に進化するため、競合他社の出現や技術革新に伴う業界変動が、これら企業の収益構造に重大な影響を及ぼす可能性があるだろう。こうした高評価銘柄に対する投資は慎重であるべきであり、単に市場のムードに流されることなく、将来性とリスクを見極めた長期的な視点が必要とされる。