パランティア・テクノロジーズ(ティッカー: PLTR)の株価は年初来で240%以上の急騰を見せ、アナリストの間で過大評価の声が高まっている。特にArgus Researchのジョセフ・ボナー氏は、現時点の評価額が根拠を欠くとして、株価見通しを「買い」から「保留」に引き下げた。11月4日に発表された第3四半期の好業績を受け、株価は40%以上も上昇しているが、依然としてボナー氏やJefferiesのブレント・スリル氏らは、過度な評価がリスク要因になり得ると警戒している。
現状の業績は成長を示す一方、同社収益の多くが米国政府との契約に依存している点や、AI分野での商業拡大が将来の利益貢献にどこまで寄与するかが注視されている。ウォール街の評価も「保留」が優勢で、パランティアの株価は今後、期待と懸念が交錯する難しい局面に立たされている。
Argus Researchの懸念はどこにあるのか パランティアの成長と高評価の背景
パランティア・テクノロジーズ(PLTR)の株価は年初から240%以上の上昇を記録し、その急成長が注目される一方で、Argus Researchのジョセフ・ボナー氏は株価の過大評価を指摘している。パランティアが11月4日に発表した2024年度第3四半期の業績は市場予測を上回り、収益性やキャッシュフローが改善されたと報告されたが、ボナー氏は、この業績が現株価を正当化するには不十分であると判断した。
特に、パランティアの主力市場が米国政府機関との防衛契約であることがリスク要因とされ、商業部門の成長が依然として不透明である点を強調している。企業の高評価が短期的な業績上昇に基づくものであり、持続的な価値創出が伴わないと、市場の期待が剥落するリスクが潜んでいるのである。
一方で、ボナー氏はパランティアの技術的な優位性と、特定の顧客層における強固な依存関係を認めている。データ分析や管理ソリューションの提供で同社がAI分野での存在感を示しつつあることは、長期的な可能性を示唆するものだが、ニッチ市場に依存するモデルはリスクの不確実性を高めている。パランティアの成長を支える基盤は確かであるが、過度な評価が市場に与える影響については、慎重に見極める必要があるだろう。
Jefferiesのアナリストも懸念 売り判断の背景と成長見通しの揺らぎ
Jefferiesのブレント・スリル氏もまた、PLTR株の評価を「保留」から「売り」に引き下げ、将来の成長に対して疑問を呈している。彼の評価の根拠は、同社の現在の収益源が防衛および情報機関向けの政府契約に依存していることである。
このような契約形態は安定的な収益を提供する一方で、政府支出の影響を受けやすいという側面があり、成長戦略の脆弱性が浮き彫りになる。同社はAI分野でのシェア拡大に注力しているものの、競争が激化する市場において商業部門での成長がどれほど期待できるかは不透明であり、スリル氏は現時点での株価が同社の実質的な価値を超えていると指摘している。
さらに、現在のパランティア株に対する市場の過熱は、企業の長期的な財務基盤にリスクをもたらす可能性があるとスリル氏は分析する。これに加え、商業分野でのさらなる成長には多大な投資と時間が必要であり、短期的に収益に反映される見込みは低い。過剰な市場の期待に対し、同社の成長戦略がどのように応じるかが注目されるが、スリル氏の見解は、慎重な再評価が必要な時期に差し掛かっていることを強調している。
ウォール街の見解と投資家が注目すべきリスク
現在、ウォール街ではパランティア株に対して「保留」が優勢であり、総合評価も3件の「買い」、6件の「保留」、5件の「売り」と割れている。この評価は、パランティアの商業部門での成長が進む中で収益構造がどのように変化するかに注目が集まっていることを反映している。
また、パランティアの長期的な成長可能性に対する期待が高まる一方で、過度に高い評価額がリスク要因と化している点も無視できない。平均目標株価が現在の市場価格から約41.3%の下落を示していることは、市場の期待が行き過ぎている可能性を暗示している。
パランティアの株価動向は、成長期待と現実の業績の乖離がどのように市場に反映されるかを見極める指標とも言える。特に、商業部門の拡大が実現するか、また政府契約からの収益依存をどの程度まで多様化できるかが重要な課題となる。投資家は、現在の株価が企業価値に対して持続的であるかどうか、今後の動向を注視する必要がある。