年末を迎え、ウォール街のアナリストたちが来年の有望銘柄を選定する動きが加速している。その中でMizuhoのトップアナリストたちは、2025年に向けて注目すべきテック・メガキャップ銘柄として、AIとクラウドのリーダーであるNvidiaとAmazonを推奨している。

NvidiaはAI対応の半導体分野で独自の立場を確立し、時価総額3.6兆ドルに達する規模に成長。特にデータセンターや高速コンピューティング分野における技術革新が評価され、同社のAIチップの需要はますます増加する見通しである。一方、Amazonはオンライン小売業界のトップ企業として確固たる地位を築きつつも、クラウドサービス「AWS」やジェネレーティブAIの分野にも進出し、多様なサービス展開を図っている。

MizuhoアナリストのJames Leeは、AWSの成長力とAI市場での戦略が十分に評価されていないと指摘し、長期的な成長のポテンシャルに注目している。

AI技術の牽引役としてのNvidiaの未来:データセンター市場の覇権争い

Nvidiaは、元々グラフィックス分野に特化したGPUで注目を集めた企業であるが、近年はAI対応の半導体分野においてもトップ企業として台頭している。同社が特に注力しているのがデータセンター市場であり、これがNvidiaの成長戦略の中核を成す。

AIチップがデータセンターの処理能力を大幅に向上させるため、Nvidiaの製品はクラウドプロバイダーやビッグデータ企業にとって欠かせない存在となっている。NvidiaのGPUは、AIのモデル学習とデータ解析の処理に最適化され、従来のCPUとは一線を画す性能を提供している。こうした技術革新によって、Nvidiaはデータセンター市場での競争優位性を確立し、他の半導体メーカーを引き離す可能性がある。

一方で、Nvidiaが独自のクラウドサービスを開始するかどうかにも注目が集まっている。現在のところ、同社は主要なクラウドプロバイダーにAIチップを供給する立場にあるが、独自のクラウドサービスを展開することで、自社の技術力をさらに活かした新たなビジネスモデルを築く可能性もある。仮にNvidiaがクラウド市場に参入すれば、AIに特化したクラウドプラットフォームが提供されることになり、市場にはさらなる変革がもたらされるだろう。今後のデータセンター市場の行方を見守る上で、Nvidiaの戦略は引き続き注視すべきポイントである。

Amazonのクラウド戦略とAIへの取り組み:AWSとAnthropicによるエコシステム拡大

Amazonは1994年の設立以来、eコマースにおける地位を確立し続けてきたが、クラウドサービス「AWS」によって同社の事業領域はさらに広がった。AWSはクラウドコンピューティングの先駆けとして、世界中の企業に柔軟なデータ活用を可能にしており、現在もクラウド市場のリーダーとしての役割を担っている。特に小規模ビジネスから大手企業に至るまで、AWSのエコシステムは幅広く支持されており、クラウド市場におけるシェアを着実に拡大している。

さらに、AmazonはジェネレーティブAI企業であるAnthropicと提携し、自社のクラウドベースAIプラットフォーム「Bedrock」にAnthropicのAIモデルを組み込んでいる。この取り組みによって、AWSは次世代AIサービスの提供を可能にし、より多様な分野での活用が期待されている。

MizuhoのJames Leeは、このAWSのGen-AI戦略が過小評価されているとし、投資家にとって見逃せない成長要因であると述べている。今後、AmazonがAIとクラウドの両分野で進化を遂げる中で、AWSの存在感はさらに強まることが予想される。

AIとクラウドの未来を占うテック業界の構図:NvidiaとAmazonの影響力

NvidiaとAmazonは、それぞれの強みを活かしてAIとクラウド分野の最前線で活躍するテクノロジー企業である。NvidiaはAI対応のGPUに特化し、AIアプリケーションにおける処理能力の向上に貢献している一方、AmazonはAWSを通じてクラウド市場における基盤を築き、AI技術の普及を後押ししている。両社は異なるアプローチで成長しているが、結果としてデータ活用とAI応用に不可欠な存在となりつつある。

こうした背景には、デジタルエコノミーの進化と、AIやクラウド技術の活用に対する企業のニーズの高まりがある。特に、データセンターにおける高速処理のニーズや、AIモデルの大規模トレーニングの需要が増加する中で、NvidiaとAmazonの影響力は増していくだろう。今後のテクノロジー市場において、両社が引き続きリーダーシップを発揮し、どのようにデジタル技術の未来を築いていくかに注目が集まっている。

Reinforz Insight
ニュースレター登録フォーム

最先端のビジネス情報をお届け
詳しくはこちら

プライバシーポリシーに同意のうえ