11月13日、インドの主要株価指数SensexとNiftyが大幅な下落を記録した。Sensexは1.45%、Nifty50は1.6%の下落率を示し、特にPSU銀行株や不動産株が打撃を受けた。この急落の背景には、国内の消費者物価指数(CPI)インフレ率がRBIの許容範囲を超えたことがあり、今後の金利引き下げ期待が低下しつつある。

また、米国債利回りの上昇や企業収益の低迷により、外国人機関投資家(FII)は資金をインド市場から相対的に安価な市場である中国へと移行させている。

Geojitファイナンシャル・サービスのヴィノード・ナイール氏は、国内インフレの急上昇が投資家心理に与える影響を指摘し、特に金融および自動車セクターへの圧力が高まっていると述べた。インド市場は他の新興市場と同様に米国の金融政策の影響を受けやすく、今後も厳しい状況が続く可能性がある。

インフレ上昇とRBIの政策期待が投資家心理を悪化

インド株市場の急落の背景には、国内インフレ率の上昇がある。10月の消費者物価指数(CPI)インフレ率が6.21%に達し、インド準備銀行(RBI)の許容上限である6%を超えた。これにより、RBIが大幅な利下げを行う可能性が低下し、投資家の不安が増幅される結果となった。通常、利下げは市場に流動性を供給し、株価の上昇に寄与するが、このインフレ上昇によりRBIが緩和政策に慎重な姿勢を見せることが予想される。

Goodreturnsの報道では、メータ・エクイティーズのプラシャンス・タプセ氏が「インフレ率が上昇し、RBIの許容範囲を超えることで市場は混乱に陥っている」と指摘している。これは投資家にとって短期的な収益見通しを悪化させ、国内外の不安定要因が投資決定に影響を与える要因となっている。今後、RBIがインフレ抑制のためにどのような方策を講じるかが、投資家心理の回復と市場の安定において重要な鍵となるだろう。

FIIの売り越しと中国市場への資金流出

インド株式市場の低迷は外国人機関投資家(FII)による売り越しも大きく影響している。2024年に入り、FIIはインド市場で2,64,659.03億ルピーの資金を売り越しており、これが市場全体の下落圧力を強める要因となっている。この背景には、米国債利回りの上昇とインド国内のインフレ上昇により、インド市場の収益期待が低下したことがある。

Geojitファイナンシャル・サービスのヴィノード・ナイール氏は「インフレの急上昇が投資家心理を悪化させている」と述べ、さらに米ドルの強化や中国市場の魅力の高まりが、FIIによる資金流出を引き起こしていると分析している。インド市場は他の新興市場に比べて割高感が強まっており、投資家にとって中国市場が相対的に安価かつ魅力的な選択肢となっている。今後、インド市場がFIIの関心を取り戻すには、成長性と安定性の確保が急務である。

セクター別影響と今後の見通し

今回の株式市場の急落は、金融や自動車セクターに大きな打撃を与えている。特に、バンクNifty指数は1,069.45ポイント(2.09%)下落し、金融セクター全体の弱含みが浮き彫りとなった。株式リサーチ部長シュリカント・チョウハン氏によれば、「日足チャート上の弱気のローソク足がさらなる下落を示唆しており、現在の水準からの短期的なリバウンドの可能性も限定的である」との見解である。

ただし、これらの銘柄の一部には売られすぎの兆候も見られ、短期的なリバウンドの可能性も完全には否定できない。特にインド国内の需要が復調し、経済政策が投資を促進する方向に動けば、これまで下落が続いたセクターに買いが戻る可能性もあるだろう。しかし、米国の金融政策や国内インフレが引き続き市場のボラティリティに影響を及ぼすことが予想され、リスク管理を意識した投資が求められる。

Reinforz Insight
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