インテルが新たに発表したCore Ultra 7 255Hは、2025年CESでの正式発表に先立ち、Geekbenchにおいてその性能を明らかにした。このArrow Lake-HシリーズのCPUは、10個の効率コアと6個の性能コアで構成され、最大5.1GHzのブーストクロックに達する。
テスト結果によれば、同シリーズのMeteor Lakeモデルと比較してシングルコアで14%、マルチコアで22%の性能向上を示しており、ライバルAMDのRyzen AI 9 365にも対抗しうる力を発揮している。さらに、ハイパースレッディングなしでこれだけの性能を実現している点も注目される。
インテルはこれにより、次世代のArrow Lake-HXやArrow Lake-Uシリーズにおけるさらなる進化を見据えているが、安定性の課題が残る可能性も指摘されている。
性能向上の鍵となる構造設計とクロック速度の進化
Core Ultra 7 255Hの大幅な性能向上の鍵は、6つのLion Cove Pコアと10のCrestmont Eコアで構成される効率的なマルチコア設計にある。この構成により、負荷の大きい処理をPコアが担い、並行タスクの処理をEコアが支えるという役割分担が可能となっている。
さらに、ブーストクロックが5.1GHzに達することも、従来のMeteor Lakeシリーズと比べて明らかな性能向上を実現する要因である。インテルは、Arrow LakeシリーズにおいてPコアとEコアの最適なバランスを追求することで、消費電力とパフォーマンスの両立を目指している。NotebookCheckのデータによれば、今回のテスト結果はその設計が効果を発揮していることを示しており、これにより高い競争力を持つCPUとしての地位が強化される見通しである。
しかし、ブーストクロックの維持に課題が残る点も明らかとなっている。特に高負荷時に5.1GHzを保つことが難しい現象が確認されており、この点についてはインテルがさらなる調整を進める必要があるだろう。過去のCore Ultra 9 285Hでも同様の傾向が見られたことから、Arrow Lake-Hシリーズ全体にわたる共通の課題と考えられる。インテルはこの点を克服することで、より安定した高性能な製品を市場に提供できる可能性がある。
Geekbenchベンチマークに見る実力と競合との比較
Geekbenchのテスト結果から、Core Ultra 7 255Hはシングルコアスコアで2,754ポイント、マルチコアで15,040ポイントを記録した。この数値は、Meteor Lakeシリーズの同等品であるCore Ultra 7 155Hと比較して、シングルコアで14%、マルチコアで22%の性能向上を示している。
また、AMDのRyzen AI 9 365との比較においても、特にマルチコア性能で12%の差をつけており、次世代CPUの優位性を証明している。これにより、インテルはAMDとの競争において再び優位性を確立する可能性が高まった。しかし、AMDのRyzenシリーズはAI対応能力を強化しており、各分野での用途拡大を進めているため、単純な性能比較だけでは測れない優位性も存在する。
Ryzenシリーズは特に並列処理において強みを持ち、AIワークロードやデータ分析用途に適した設計が施されているため、用途や目的によっては依然として競争力を保持している。こうした点から、インテルも今後のモデルでAI向けの最適化を取り入れる必要があるかもしれない。市場での評価は、性能以外の付加価値や柔軟な対応力によって決まることも十分に考えられる。
今後の展望とCESでの正式発表が示唆する技術革新の可能性
Core Ultra 7 255Hの性能が明らかになった今、2025年CESでの正式発表が期待される。CESではArrow Lake-HXやArrow Lake-Uシリーズも発表される見通しであり、これらが市場に登場することでインテルのラインナップはさらに強化されるだろう。
NotebookCheckが報じるところによれば、これらの新シリーズでは消費電力の最適化や性能のさらなる向上が目指されており、特にモバイル環境での省エネ性が重要視されている。インテルは現在、競合であるAMDやAppleのMシリーズが進出している低電力高性能分野に対応するため、さらなる効率化技術の導入を進めている。
特にArrow Lake-HXやUシリーズは、ノートパソコン市場でのシェア拡大を狙い、従来のデスクトップ向け高性能モデルと差別化を図るものである。インテルのこうした戦略が奏功すれば、競争が激化するモバイルプロセッサ市場での再浮上も十分に期待される。CESでの発表が、モバイルとデスクトップの両方において革新を生み出す契機となるかが注目される。