編集部
2024年第3四半期、世界のCPU市場が四半期比で12.2%、前年比で7.8%の成長を遂げ、停滞していたPC向けおよびサーバー向けCPU出荷量が回復基調を見せている。Jon Peddie Researchの調査によれば、中国市場の大幅な寄与が市場全体を押し上げ、特にLenovoが成長を牽引した。また、ノートブック向けCPUのシェアが第2四半期の24%から30%に上昇するなど、消費者向けPC分野の改善が顕著である。
さらに、iGPU出荷量も前年同期比で6%増加し、AMDおよびIntelの技術的進化がその背景にある。一方、サーバー向けCPU市場も年間成長率2%を記録し、AI関連需要の影響を受けて来年以降も成長が期待されている。市場の回復は明らかであるが、2020年および2021年の高水準には未だ届いていない点も注視すべきである。
中国市場の台頭とLenovoの牽引力
Jon Peddie Researchの調査によると、中国市場は2024年第3四半期のPC向けCPU市場成長の主要因となった。特にLenovoが大きなシェアを占め、急速に回復する市場を支えている。Lenovoは中国国内におけるPC製造の中核を担い、AI対応デバイスやノートブック市場への積極的な投資が顕著である。こうした背景には、国内需要の回復と政府のテクノロジー分野への支援があると考えられる。
一方で、中国市場の成長には一部リスクも伴う。世界経済の不透明感や地政学的緊張が影響を及ぼす可能性があり、市場の安定性は依然として未知数である。しかし、Lenovoをはじめとする中国の主要メーカーが技術革新を進めることで、持続的成長を確保する可能性も期待される。中国市場がグローバルCPU市場全体に与える影響は今後さらに大きくなるだろう。
AI関連需要が支えるサーバーCPU市場の未来
サーバー向けCPUの出荷量は第3四半期に10.5%成長し、年間でも2%増加した。この成長は主にAIおよびAI関連ハードウェアの需要増加が背景にあると見られる。企業がクラウドサービスやデータセンター拡大に注力する中、AI処理に特化したサーバー用CPUが注目を集めている。これにより、IntelやAMDを含む主要メーカーが新しい製品ラインを次々と発表している。
ただし、2020年や2021年に見られた記録的な出荷水準にはまだ達していない。これはパンデミックによる需要急増が一時的なものであったことを示している。現在の成長は持続可能性が高いものの、急激な拡大を見込むのは早計である。AIとデータセンター分野での進展が、この市場をいかに変革するかが注目される。
iGPUの進化とノートブック市場への影響
2024年第3四半期、統合型GPU（iGPU）の出荷量が前年同期比で6%増加した。これは、AMDとIntelがデスクトップおよびノートブック市場で性能を大幅に向上させたことが寄与している。特にノートブック市場では、iGPUの性能が軽量化や消費電力削減に寄与し、ユーザーの需要を支える重要な要素となっている。
この技術進化は、AI処理やグラフィックス性能を求めるユーザーに対応するためのものである。競争が激化する中、AMDとIntelは製品の差別化を進め、シェア拡大を目指している。ただし、専用GPU市場との競合が引き続き課題となりそうだ。iGPUが高性能化することで、ノートブック市場はさらに活発化する可能性を秘めているが、消費者の選好に影響を与える要因も多岐にわたる。