ビットコイン(BTCUSD)は木曜日、一時99,000ドルを突破し、史上最高値を更新した。2024年の米大統領選でドナルド・トランプ氏が当選した後、ビットコインは2週間で46%上昇した。また、ビットコイン関連株の取引量が500億ドルを超え、MicroStrategy(MSTR)は320億ドル相当のビットコインを保有している。
しかし、Galaxy DigitalのCEOマイク・ノヴォグラッツ氏は、価格が80,000ドルに下落する可能性を警告した。さらに、ビットコインと金の相関性が0.82から-0.66に逆転したことも注目される。加えて、Cosmos Healthなど3社がビットコインを財務資産として採用する意向を発表した。
ビットコイン高騰の背景にある政策転換と市場の反応
ビットコインがトランプ氏の大統領選当選後に急上昇した背景には、暗号通貨への政策期待が大きく関与している。トランプ政権は規制緩和を掲げ、暗号通貨に対する友好的な姿勢を示しているとされる。特に、アメリカ証券取引委員会(SEC)のゲイリー・ゲンスラー議長の退任発表は、市場にとって象徴的な転換点となった。ゲンスラー氏はこれまで、厳しい規制で暗号通貨業界から批判を受けており、その影響力が後退するとの期待が市場心理を後押しした。
また、MicroStrategyやCosmos Healthなどの企業がビットコインを財務準備資産として採用した動きも、ビットコインの需要増加に寄与している。特にMicroStrategyは、過去3年間で約33万1,200ビットコインを保有するに至り、その戦略が企業の株価を大幅に押し上げたことが注目されている。これらの動きは、ビットコインが単なる投機対象から、企業財務の一部として認識されつつあることを示している。
しかし、これらの政策転換や企業の採用が必ずしも持続的な成長につながるとは限らない。規制が再強化される可能性や、暗号通貨市場の特有のボラティリティが、長期的な価格の安定に影を落とす可能性も否定できない。
金との相関性が逆転した背景とビットコインの新たな役割
ビットコインは近年、「デジタルゴールド」としての地位を確立してきたが、今月に入り金との相関性が大きく変化した。具体的には、金との相関係数がプラスからマイナスに転じ、両資産が異なる価格動向を示し始めている。この逆転現象は、暗号通貨市場に資金が流入していることを示す一つの兆候であり、ビットコインが従来の安全資産としての金に代わる存在と見なされつつあることを裏付ける。
The Blockのデータによれば、米大統領選挙以降、ビットコインと金の相関係数は0.82から-0.66にまで変化している。この動きは、トランプ政権の政策期待と合わせて、投資家がより高いリターンを求めてリスクのある資産に資金をシフトさせた結果と考えられる。一方、金は市場の不安定さを背景に低迷し、その需要が相対的に減少した。
ビットコインが株式市場との相関性を維持している点にも注目が集まる。これは暗号通貨が、依然としてリスク資産としての性格を持つことを示唆している。投資家は、金のような伝統的な安全資産ではなく、暗号通貨を含むリスク資産に目を向けることで、市場全体のダイナミズムが変化している可能性がある。
ビットコインの100,000ドル突破への期待と市場の不確実性
市場ではビットコインが100,000ドルを突破するとの期待が高まっている。これは単なる心理的節目ではなく、暗号通貨市場にとっての新たな成長の指標ともなる。ビットコインETFへの資金流入が記録的な規模に達し、個人投資家のみならず機関投資家の関与が拡大している点も、この期待を支える要因となっている。
しかし、Galaxy DigitalのCEOマイク・ノヴォグラッツ氏が警告するように、ビットコイン市場には過剰なレバレッジが存在し、調整局面が訪れる可能性は無視できない。同氏は価格が80,000ドルに下落するシナリオを想定しており、これは100,000ドル突破後の市場安定性に対する懸念を反映している。
さらに、ビットコインの成長がもたらす社会的・経済的影響も議論の対象となりつつある。暗号通貨市場が拡大する一方で、その規模や影響力が規制当局の注目を集めることは避けられない。投資家は、急速な成長の裏に潜むリスクを十分に理解し、長期的な視点での戦略を構築する必要があるだろう。