ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイのポートフォリオは、約50の企業株式を保有し、その多くが金融やエネルギー分野に集中している。しかし、その中にはグローバル市場で特に高い成長が期待される企業も存在する。本記事では、その中でも現在注目すべき3銘柄――アマゾン、プール、ウルタ・ビューティ――を取り上げる。

アマゾンは、電子商取引や広告事業、AWSといった主要分野で成長を続け、特にAI需要の増加が今後の収益向上を後押しする可能性が高い。一方、プールは安定的なメンテナンス需要を背景にスイミングプール関連市場で地盤を固める。さらにウルタ・ビューティは、顧客ロイヤルティを強みに割安な評価を受けているにもかかわらず、収益基盤を強化し続けている。

これらの企業は、異なる分野で独自の強みを持ち、長期的な成長性と株主価値の向上を期待させる点で共通している。

アマゾンの広告事業とAWSが示す次世代成長戦略

アマゾンは電子商取引の巨人として知られるが、近年特に注目されているのが広告事業とAWS(Amazon Web Services)の成長である。同社の広告事業は、eコマースプラットフォームを活用して消費者の行動を詳細に解析し、企業に的確なターゲティングを提供するという強みを持つ。最新の四半期では前年比19%の成長を記録し、年商は500億ドルを突破した。

この数字は、広告分野でのアマゾンのプレゼンスを示すだけでなく、競争が激化するデジタル広告市場での勝ち残りを裏付けている。

また、AWSの成長はこれまでの一時的な鈍化を脱し、四半期連続で加速を見せた。特にAI技術への需要増加はAWSのサービス利用拡大に寄与しており、最新の成長率19%はその可能性を示している。クラウドコンピューティング市場全体の成長予測を考慮すれば、アマゾンのビジネスモデルの多角化が長期的な競争力を維持する鍵になると考えられる。

独自の考えとして、アマゾンはコア事業に頼らず、広告とクラウドを収益の柱に据えることで、経済環境の変化に対する耐性を強化している。今後、広告技術のさらなる高度化やAIを活用したクラウドサービスの提供が、企業の競争優位性をさらに高める可能性が高い。


プールの安定収益モデルとROICが示唆する投資価値

プールはスイミングプール関連市場で確固たる地位を築いており、特に安定した収益モデルが注目される。同社の収益の一部は、プールの設置や修理といった単発的な売上に依存しているが、もう一つの柱となっているのが定期的なメンテナンスから得られる継続的な収入である。この仕組みは、景気変動の影響を受けにくく、安定的なキャッシュフローを維持する重要な要因となっている。

現在の投資資本利益率(ROIC)は19%と、過去の水準と比較して若干の低下が見られるものの、それでも業界全体では高い水準を維持している。これは同社が長期的な収益成長を続ける能力を持つことを示唆している。バークシャー・ハサウェイがこの銘柄を新たにポートフォリオに加えた背景には、このような堅実な収益基盤と成長ポテンシャルへの評価があると考えられる。

一方で、プール市場は成熟しつつあるため、新たな収益源の開拓が今後の課題となる可能性もある。例えば、持続可能なプール技術やIoTを活用したメンテナンスソリューションの提供が、同社の差別化戦略として有効であろう。


ウルタ・ビューティのリワードプログラムと割安評価が示す再評価の可能性

ウルタ・ビューティは、4400万人に及ぶリワードプログラム会員を基盤とし、安定した収益を生み出している。同社の売上の大半はこの忠実な顧客層に支えられており、約13%の営業利益率を維持している点がその証左である。さらに、株主価値向上の一環として進行中の自社株買いプログラムは、株式市場における同社の評価を押し上げる重要な材料といえる。

バークシャー・ハサウェイが95%の株式を売却した背景については不明だが、現在の株価収益率(P/E)は過去と比較して非常に割安である。この評価は、市場全体のボラティリティや競争環境を考慮しても、再評価の余地を十分に示唆している。

独自の考察として、ウルタ・ビューティが持つ最大の強みは、多角的な商品ラインアップと効率的な店舗展開戦略である。化粧品業界がデジタル化する中で、オムニチャネル戦略をさらに強化することで、同社は競争力を一段と高める可能性を秘めている。

Reinforz Insight
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