半導体メーカーのマーベル・テクノロジーの株価が3Q決算発表後に時間外取引で一時10%の上昇を記録した。背景には、AI関連需要の増加や新興市場での積極的な展開がある。

CEOのマシュー・マーフィー氏は、データセンターチップ市場の規模を400億ドルと試算し、20%以上のシェア獲得を目指すと強調。第3四半期の売上高は15.2億ドルと予測を上回り、クラウド需要を中心にAIシリコンプログラムが成長を牽引した。

さらに、同社はActive Electronic Cables(AEC)分野に注力し、AI収益のさらなる拡大を見込んでいる。一方、マーフィー氏のインテルCEO候補の噂も注目されており、同氏はマーベルへのコミットメントを改めて表明した。株価上昇が持続するかどうかは、ウォール街の今後の反応が鍵となる。

AI需要が生む急成長市場とマーベルの戦略的焦点

マーベルはAI関連市場での地位をさらに確立するため、大胆な成長戦略を展開している。同社のカスタムTAM(Total Addressable Market)は、データセンターチップ市場で400億ドル規模と推定され、CEOのマシュー・マーフィー氏は市場シェア20%以上の達成を目標としている。この成長の背景には、クラウド需要の急増と、データセンターの消費電力削減が求められる市場ニーズがある。

特に注目すべきは、マーベルがAEC(Active Electronic Cables)を成長の柱と位置付けている点である。競合他社であるCredo Technology GroupもAEC分野で高い収益を上げており、同市場のポテンシャルが急速に拡大していることを示している。これにより、マーベルの市場拡大は、競争の激化を伴うものの、新たな成長機会をもたらす可能性が高い。

一方、AI収益の拡大が進む中、マーベルは具体的な数値のアップデートを次回の投資家説明会で発表予定としており、さらなる注目を集める見込みである。市場の進化に対して柔軟かつ積極的に対応する姿勢が、同社の成長を支える重要な要素と言える。

インテルCEO候補の噂とマシュー・マーフィー氏のリーダーシップ

マシュー・マーフィー氏がインテルの次期CEO候補として注目を集める中、同氏は自身の立場を明確にした。「マーベルに100%コミットしている」との発言は、インテルへの転身が取り沙汰される状況下でも、同氏が現在の役割に専念していることを示している。これにより、マーベル株主や市場関係者に安心感を与える効果があったと言える。

しかし、この発言の背景には、AI市場におけるリーダーシップを巡る激しい競争がある。同氏の下でマーベルが急成長を遂げている事実は、同業他社や投資家からの高い評価を得ている。特に、インテルのような業界大手がマーフィー氏を注目することは、同氏の手腕が広く認識されている証左であろう。

マーフィー氏がマーベルで示しているリーダーシップは、AI収益拡大やデータセンターチップ市場でのシェア拡大といった具体的な成果に表れている。仮に将来的に同氏が異なる役割に就くとしても、その影響をマーベルがどのように克服するかは注視すべき課題である。

決算データが示す新時代の幕開け

マーベルの最新の四半期決算は、同社が新たな成長局面に入ったことを鮮明に示している。第3四半期の売上高は15.2億ドルとウォール街の予測を大幅に上回り、前年同期比で19%の成長を達成した。この成長はAI需要の増加が主な要因であり、特にカスタムAIシリコンプログラムの生産量の増加が大きく寄与した。

また、第4四半期の売上高ガイダンスでは、前年比26%の加速成長が見込まれており、今後の事業展開に対する市場の期待が高まっている。同社の非GAAPベースの粗利益率は60.5%と予測値を若干下回ったものの、営業キャッシュフローが5.36億ドルと予測を大幅に上回るなど、財務基盤の強さを示した。