Nvidiaの幹部陣が大規模な株式売却を行ったことが投資家の注目を集めている。CEOジェンセン・ファンによる600万株売却を皮切りに、CFOコレット・クレスも12月13日に66,670株を売却し、約900万ドルを得た。この背景には、10b5-1計画を通じた内部者取引があるが、中国での反トラスト調査や米中技術摩擦の影響が同社株価の逆風として浮上している。
NvidiaのAI分野での成功は市場価値を押し上げたが、競争環境や成長の限界を懸念する声も増えている。AI市場でのリーダーシップが維持される一方で、競合他社や規制の影響が株主価値にどのように影響するのか、引き続き注視が必要だ。
Nvidia幹部による株式売却とその背景
NvidiaのCEOジェンセン・ファンやCFOコレット・クレスなど、幹部陣による大規模な株式売却が報告されている。この売却は、少なくとも3か月前に計画が必要な「10b5-1計画」に基づいて行われたもので、内部者取引の疑念を回避する目的があるとされる。特にクレス氏は12月13日に66,670株を売却し、これまでの活動でも複数回にわたり売却を加速させている。
注目すべきは、Nvidia株がAI市場の好調により高値を記録したタイミングで、幹部たちが利益確定に動いた点である。一方で、SECの資料を基にした報道によれば、ファンCEOは売却後も依然として巨額の資産を保有しており、幹部による売却行動が同社への信頼喪失を意味しないとする見方もある。しかし、幹部による売却が相次ぐ現状は、Nvidiaの株主心理や市場への影響を無視できないものとして映る。
中国市場での規制強化がもたらす影響
中国での反トラスト調査がNvidiaにとって新たな課題となっている。中国政府は、半導体技術分野における外国依存を抑える方針を強化しており、米中間の技術摩擦もこれに拍車をかけている。この影響で、Nvidia株は最近140ドル以下にまで下落しており、業界全体への規制強化の波及が懸念されている。
さらに、同社のAI技術が米国政府の輸出規制対象となったことも、中国での事業展開に不透明感をもたらしている。これにより、短期的な業績への影響が懸念されるとともに、中国以外の市場での需要確保が重要性を増している。ただし、同時にこれらの規制が競合他社にも均等に適用される可能性があるため、Nvidiaの地位が一方的に悪化するとは限らないと考えられる。
Nvidiaの成長性を巡る論争
NvidiaはAI市場のリーダーとして確固たる地位を築いているが、その成長余地には限界があるとする意見も浮上している。著名アナリストのラリー・テンタレリ氏は、Nvidiaの市場価値が既に3兆ドルを超えている点に着目し、新興AI企業が次の成長エンジンとなる可能性を指摘している。また、競合他社であるAdvanced Micro Devices(AMD)の台頭も、同社の成長を抑制する要因となり得る。
一方で、モルガン・スタンレーやパイパー・サンドラーなどの主要アナリストは、Nvidiaの次世代Blackwellチップが今後の売上増に大きく寄与すると予測している。AI関連事業の拡大が見込まれる中で、Nvidiaの優位性が持続するかどうかは、技術革新のスピードと市場対応力にかかっていると言えるだろう。このような成長性を巡る意見の対立は、同社の株価動向を左右する重要な要素である。