MicrosoftはWindows 11のスタートメニュー内に表示される「おすすめ」機能を、最新のBetaチャンネルのプレビュービルド22635.4655で強化し、提案内容の関連性向上を図っている。改善の背景にはテストユーザーのフィードバックがあり、同社はブラウジング履歴に基づいた高品質なWebサイトを提示することでユーザー体験の向上を目指すとしている。

同ビルドでは「Microsoft Edge Game Assist」の導入も進み、Edgeブラウザをオーバーレイ表示し、ゲーム中の利便性を高める新機能が加えられた。一方、Microsoftは「おすすめ機能」の廃止は検討しておらず、今後も改善を続けると明言したが、カスタマイズ可能な選択肢を求める声も根強い。

スタートメニューの画面スペースをどう活用するか、ユーザーの反応には賛否が分かれる中で、Microsoftの提案型機能が今後どれほどの評価を得られるか注目される。

スタートメニューの「おすすめ」機能は本当に必要か ユーザーの評価は分かれる

Windows 11のスタートメニュー「おすすめ」機能は、直近で使ったアプリやファイル、関連性の高いWebサイトを表示することを目的としている。しかし、この機能がユーザーにとって実際に利便性を高めているかという点では意見が分かれる。

MicrosoftはBetaチャンネルの新ビルド22635.4655において、提案内容のフィルタリング強化を行い、「最高品質のサイトを提供する」との改善を示したが、現状の成果は一部のテストユーザーに限られたものだ。

「スタートメニューはあくまで迅速なアクセスが目的であり、不要な情報は表示してほしくない」といった声は根強く、ユーザーの意図を無視した提案が画面の有効活用を損なっているという指摘もある。

加えて、閲覧履歴に基づく提案は便利な反面、プライバシーへの懸念を抱かせる要素も含んでいる。Windows 11が依然としてシェア拡大に苦戦している現状を考えれば、スタートメニューの役割と機能についてユーザー本位の再設計が求められているのではないだろうか。

Microsoftは「おすすめ」機能の廃止を完全に否定し、関連性向上に注力する方針を示した。しかしながら、個々のユーザーが自由にカスタマイズできるオプションが不足している現状では、改善だけで満足する層が限られてしまうだろう。特にスタートメニューはOS体験の基盤であるため、カスタマイズ性の強化が不可欠な取り組みと言える。

「Microsoft Edge Game Assist」の導入で示された新たな方向性

今回のビルド22635では、スタートメニューの改善と共に「Microsoft Edge Game Assist」のテスト導入が注目される。この機能はゲーム中にEdgeブラウザをミニ表示し、Game Barオーバーレイ内で攻略情報やWebサイトを参照できる点が特徴である。

Alt-Tabキーによる画面切り替えの手間を排除し、ゲームプレイを中断することなく必要な情報を取得できる利点がある。こうした機能の背景には、PCゲーマー市場の拡大とMicrosoftの戦略が見え隠れする。ゲーミング分野での競争は激化しており、ゲーミングPCや周辺ソフトウェアの需要が高まる中で、Edgeブラウザをゲーム体験の一部に組み込むことで競争力を高める狙いがあると推測できる。

しかし一方で、すべてのゲーマーがこの機能を歓迎するわけではない。ゲーム中にオーバーレイが表示されること自体がパフォーマンスや没入感に悪影響を与える可能性もあるため、最適化が求められる。Microsoftはブラウザのシェア拡大にも力を入れており、Edgeの機能追加はその一環だろう。

しかし、ゲーマー層に特化した施策がどこまで成果を上げるかは未知数である。MicrosoftがEdgeの存在感を高めるためには、ゲーム以外のシーンでも優位性を示す必要がある。

ユーザー主導のカスタマイズ性こそ、Windows 11の課題解決の鍵となる

スタートメニュー「おすすめ」機能や「Microsoft Edge Game Assist」の導入が示すように、Microsoftはユーザー体験の向上を目指して機能改善を続けている。しかし、これらの機能はあくまでMicrosoftの提案であり、ユーザーが「必要と感じるかどうか」という視点が欠けている印象が拭えない。

ユーザー自身がスタートメニューやオーバーレイの表示内容を自由に選択・設定できる仕組みが整えば、こうした機能への抵抗感は大幅に軽減されるだろう。具体的には、「おすすめ」機能を完全に非表示にするオプションや、表示される内容を細かくフィルタリングできる機能が望まれる。

こうしたカスタマイズ性の向上は、Windows 11の使い勝手を根本から高めるカギとなる。一方、Microsoftの方針として提案型機能を維持するのであれば、ユーザーのフィードバックを基に徹底的な改善と最適化を行う姿勢が不可欠だ。

OSはあくまでユーザーのニーズに応える道具であり、画一的な提案や過度な機能追加が逆効果になることもある。Windows 11が今後広く受け入れられるためには、提案型機能とユーザー主導の自由度を両立させるアプローチが求められるだろう。

Reinforz Insight
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