AMDは、次世代AIチップを含む一部のRyzenプロセッサーにおいてWindows 10のサポートを終了する方針を明らかにしている。特に「Ryzen 3 7320U Mendocino」や「Ryzen 5 7520U」は、Windows 11およびLinux系OSのみを対応OSとして公式に認めている。

この決定は同社のモバイルプロセッサーラインアップが複雑化する中で混乱を招いており、7000シリーズの一部ではWindows 10サポートが明記される一方、Mendocino APUでは非対応として扱われている。さらに、最新のAMDチップセットドライバのリリースノートにはWindows 10を含む広範なサポートが記載されており、公式ウェブサイトの情報と矛盾する状況も確認される。

Zen 2アーキテクチャに基づく旧モデルはWindows 10で問題なく動作することが知られており、Microsoftもこれらプロセッサーを公式にサポートしている。この現象は、AMDの仕様変更が市場に与える影響を改めて浮き彫りにするものといえる。

AMDがWindows 10非対応を選択した背景と市場への影響

AMDは、特定のRyzenプロセッサーにおいてWindows 10の公式サポートを終了した。この決定の背後には、次世代AI対応を念頭に置いた技術進化がある。特に「Ryzen 3 7320U Mendocino」や「Ryzen 5 7520U」は、Windows 11とLinux系OSのみに対応している。

この仕様変更は、AMDの製品ラインアップが複雑化する中でユーザーに混乱を招いている。例えば、Ryzen 7000シリーズの他のモデルではWindows 10がサポートされており、同一シリーズ内で異なる対応状況が見られる。

この変更は、市場におけるWindows 10の需要とAMDの戦略的な意図の間にギャップを生じさせている。Windows 10を利用する企業や個人が依然として多数存在する一方、AMDの公式声明はWindows 11への移行を強調している。

こうした方針転換は、次世代チップセットドライバや新たなハードウェア設計に依存する一方で、既存のユーザー層への対応不足として批判を招く可能性がある。AMDの決定は、競合他社の製品選択に影響を与えるかもしれない。

Zen 2アーキテクチャが示す互換性の曖昧さ

AMDの「Mendocino」APUはZen 2アーキテクチャを採用している。同アーキテクチャは、過去の製品においてWindows 10との高い互換性が確認されてきた。例えば、Ryzen 5 4500Uは最新ドライバでもサポートされており、実運用上で問題が発生する兆候は見られない。

しかし、AMDは同じZen 2ベースの「Ryzen 3 7320U」と「Ryzen 5 7520U」について、公式サポートをWindows 11に限定している。この決定は、技術的な理由だけでなく、AMDの戦略的判断が影響している可能性が高い。

一方、Microsoftの公式サポートリストでは、これらのプロセッサーがWindows 10に対応していると明記されている。この矛盾は、AMDが公式サイトやドキュメントで一貫した情報を提供できていないことを示唆している。

ユーザーにとって、公式サポートの有無が動作可能性に直結するわけではないが、この曖昧さは製品選択時の障害となり得る。AMDがなぜこの方針を取ったのかについては、さらなる情報公開が求められる。

AMDの対応が示唆する今後のOS移行の課題

AMDの決定は、Windows 11への移行を強く推進する企業の意図を象徴している。しかし、これは既存のWindows 10ユーザーに新たな課題をもたらしている。特に、業務用途でWindows 10を使用しているケースでは、ハードウェア選定の柔軟性が損なわれる可能性がある。

一部のユーザーは、これを機に他社製品への移行を検討するかもしれない。また、AMDが市場全体のOS移行を加速させる役割を果たすと考えられる一方で、競合他社はより広範なOSサポートを提供することで差別化を図る可能性がある。

この動向が消費者や企業にどのような影響を与えるかを明確にする一助となるだろう。OS移行の過渡期において、ユーザーとメーカーの間に信頼を築くためには、透明性と一貫性が鍵となる。

参考:Neowin
AMD doesn’t want you installing Windows 10 on these Ryzen PCs despite Microsoft’s support