2025年の幕開けとともに、Nvidiaが再び市場の注目を集めている。同社の株価は年初から11.5%上昇し、時価総額3.72兆ドルに達した。これはAppleの3.70兆ドルを一時的に超える規模であり、Nvidiaの成長速度を如実に物語っている。特に次世代AIアクセラレータ「Blackwell」の需要が非常に高く、主要顧客であるAlphabet、Amazon、Meta、Microsoftなどが供給を押さえる状況が続く。
一方、Appleはサービス部門の成長こそ目覚ましいが、製品売上の停滞や全体的な成長鈍化が課題である。Nvidiaの勢いが持続するならば、同社が市場で最も価値のある企業になるのは、数か月以内の可能性が高い。しかし、激化する競争や供給の逼迫といった逆風も予想され、業界の覇権争いはますます接戦となる見込みだ。
AI需要が引き起こすNvidiaの加速的成長
Nvidiaは、新世代AIアクセラレータ「Blackwell」の登場により、急速に需要を拡大している。同製品は2025年第1四半期に市場投入が予定されており、すでに年末までの供給が完売する状況である。主要顧客であるAlphabet、Amazon、Meta、Microsoft、Oracleといった巨大テクノロジー企業が需要を押し上げており、AI関連事業の収益は前年同期比で174%増加という驚異的な成長を見せた。この背景には、AI技術の導入があらゆる産業で急速に進む中、同社製品の競争力が圧倒的であるという事実がある。
一方で、このような供給不足は新規顧客や中小規模企業にとって課題となる可能性がある。AI技術の普及を進めるには、Nvidiaが供給能力を強化し、幅広い顧客基盤に対応できる体制を整えることが必要だろう。また、競合他社であるAMDがコストパフォーマンスに優れた製品を提供しており、シェア争いは激化する可能性が高い。これにより、Nvidiaが市場での優位性を維持するためには、革新的技術の開発と生産体制の改善が求められる。
Appleの停滞が生む覇権争いの行方
一方、Appleは近年の製品売上減少に苦しんでいる。iPhoneやMacの売上が軒並み減少している中、サービス部門の成長が企業の救いとなっている。2024年度、同部門は前年比23%増の960億ドルを記録し、成長ペースを加速させた。しかし、これだけでは株価を押し上げるには不十分であり、全体の売上増加率は2%にとどまっている。この結果、Appleの株価は3.5%下落しており、Nvidiaとの競争において後退する形となった。
しかしながら、Appleは依然として強固な財務基盤を維持している。650億ドルの現金や短期投資を活用し、新技術開発や買収による成長促進の可能性を秘めている点は注目に値する。これにより、Appleは競争優位性を取り戻す戦略を模索することが可能である。Nvidiaが勢いを保つ中で、Appleがどのような施策を打ち出すかが、今後の市場構造を左右するだろう。
NvidiaとAppleの比較から考える投資の選択肢
NvidiaとAppleはいずれも価値を生み出し続ける企業であるが、その性質は大きく異なる。NvidiaはAI技術への需要が追い風となり、高成長路線を維持している。一方で、Appleは成熟した市場において安定した収益を確保しつつ、新たな事業の成長を目指している。これにより、両社の株式は異なる投資戦略に適した選択肢となる。
特に短期的な株価上昇を狙うなら、Nvidiaの勢いは注目に値する。ただし、供給不足や競争の激化といったリスクも無視できない。一方、長期的な安定性を求める投資家にとっては、Appleの堅実なキャッシュフローと配当政策が魅力的である。こうした比較を踏まえれば、どちらが最適かは投資家の目的とリスク許容度によるだろう。