テスラの株価下落が市場で注目されている。2025年初頭には時価総額が1兆ドルを下回る可能性が示唆されており、専門家たちは競争激化と成長見通しに懸念を抱く。JPモルガンやBofAセキュリティーズの分析では、政策変更や競合他社の進出が影響を与えるとされる一方、低価格モデルの投入などで成長が期待されるとの声もある。
こうした評価の交錯は、電気自動車業界の急激な進化と市場の変動を映し出している。テスラは依然として業界の主要な存在であるが、2025年には競争の激化による挑戦が避けられない情勢となっている。
株式市場の動向と業界全体の変化を注視しつつ、テスラの次なる一手がどのように未来を形作るかが問われている。
テスラの株価を揺るがす要因と市場の懸念
テスラの株価下落は、BofAセキュリティーズやJPモルガンなど主要金融機関による評価の変更に起因する。特にBofAセキュリティーズのジョン・マーフィー氏は「買い」から「中立」への格下げを行い、投資家心理に影響を与えた。同氏はテスラの自動運転ロボタクシー事業が将来的な成長の鍵としつつも、現時点での市場期待を過度と指摘している。この評価の見直しは、業界全体の競争激化が影響を及ぼしていることを示唆している。
一方、JPモルガンのライアン・ブリンクマン氏は、政策変更や需要減少がテスラに与えるリスクを強調している。特に、トランプ政権によるEV税額控除廃止の影響で約40%の損失が予想されると述べており、これが株価の不安定さを助長する一因となっている。こうした外部要因と競争環境の変化が複合的に作用し、テスラ株の先行きに影を落としている。
業界の競争激化と他社の進出が示す未来
2025年初頭には、リヴィアンやGoogleのWaymoといった競合企業が存在感を強めている。リヴィアンは低価格帯EV市場での成功を収めつつあり、Waymoは自動運転技術の進化で市場を牽引している。これらの動向は、テスラが直面する競争の本質を浮き彫りにするものである。
特にWaymoの技術進化は、テスラの自動運転モデルに直接的な影響を及ぼす可能性がある。Waymoの進化は既存市場の基準を引き上げ、新たな課題を生み出している。これに対し、テスラがどのような差別化戦略を打ち出すかが注目されるが、競争の激化により価格競争や技術開発のコストがさらに高まるリスクも否定できない。
テスラの成長戦略と市場評価の再考
ニュー・ストリート・リサーチのピエール・フェラーグ氏は、テスラ株を「中立」から「買い」に格上げし、目標株価を460ドルに設定した。同氏は、低価格モデルの導入が自動車分野での成長を加速し、粗利益率の安定化にも寄与すると評価している。また、2025年には粗利益率が約16%に改善すると予測しており、価格競争下でも利益確保の可能性が示唆されている。
しかし、利益率の安定には市場条件の変化や政策の影響が依然として懸念材料となる。特に過去のピーク時と比較した利益率の低下は、テスラが急成長する中で課題を抱えていることを示している。こうした状況を踏まえれば、成長戦略の成功は競争環境の変化に適応できるかどうかにかかっていると考えられる。