バークシャー・ハサウェイが保有するシリウスXMホールディングス(SIRI)は、昨年58%の株価下落を記録したが、2025年に反転の兆しを見せる可能性が浮上している。同社の株価低迷は、業績悪化や売上減少が主因とされているが、4.7%の高配当利回りや株式買い戻しの積極性が新たな投資機会として注目されている。
さらに、同社は2025年に11億5000万ドルのフリーキャッシュフローを予測しており、低評価ながらも収益性の維持に成功している。衛星ラジオ市場の停滞が続く中、オフィス復帰の増加やガソリン価格の低下など外部環境の追い風も期待される。これにより、シリウスXMは新たな魅力を放ち、ウォーレン・バフェットのポートフォリオで重要な役割を果たす可能性が高まっている。
シリウスXMの業績低迷と株価暴落の背景
シリウスXMホールディングスは、衛星ラジオ市場をリードしてきたものの、近年業績低迷が続いている。同社の売上は3年連続で減少しており、特にパンデミック後の需要回復が期待されたが、これが完全には実現しなかった。衛星ラジオのプレミアム会員数は数年前にピークを迎え、その後は減少傾向が続いている。同時に、競合するストリーミングサービスの台頭や、消費者の聴取習慣の変化も影響している。
株価は昨年、約58%の大幅下落を記録した。この下落には9月に実施されたリバース株式分割も関与している。この措置により株価が一時的に上昇したものの、市場の信頼を十分に回復するには至らなかった。さらに、2025年の業績見通しの発表が失望を招き、株価に追い打ちをかけた。
同社の財務状況や市場環境から考えると、この下落は一部正当化されるが、バフェットが再投資を決断した背景には独自の見解があると推測される。シリウスXMの事業構造や配当政策を踏まえると、長期的には回復の可能性が残されていると言えよう。
バフェットが見据える価値投資の機会
ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイは、シリウスXMの株式を昨年末に追加購入した。同社が抱える短期的な課題を考慮しても、長期的な価値を見出している可能性が高い。特に、同社が予測する11億5000万ドルのフリーキャッシュフローや26億ドルの調整後EBITDAは、安定した収益性を示している。
さらに、株式の買い戻しや高配当政策は、バフェットの投資哲学と一致している。実際、同社は過去12年間で発行済み株式数を42%削減し、株主価値の向上を目指している。このような財務戦略は、短期的な株価低迷にもかかわらず、価値投資家にとって魅力的な要素となる。
バフェットがシリウスXMに注目した理由は、収益構造のスケーラビリティと潜在的な市場回復力にあると考えられる。低評価で取引される同社の株式は、将来の利益成長を予測する上で重要な指標となる。シリウスXMは成長の停滞を乗り越え、新たな局面に向かう可能性を秘めている。
外部環境の追い風と今後の展望
シリウスXMの主要な収益源である衛星ラジオは、主に車内で消費されている。ここ数年、自動車市場の停滞が同社に影響を与えていたが、ガソリン価格の下落やオフィス復帰の動きが徐々に追い風となっている。特に、企業がリモートワークからオフィス勤務に回帰する動きは、通勤時間の増加をもたらし、衛星ラジオの利用機会を拡大させる可能性がある。
また、自動車ローン需要の回復も見逃せない。貸出金利が下がれば、消費者心理が改善し、新車購入を促進する要因となるだろう。このような市場環境の変化は、シリウスXMの事業にポジティブな影響を与えると見られる。
今後、シリウスXMが競争力を取り戻し、成長軌道に回帰するためには、さらなる収益多角化やサービス向上が求められる。市場環境の改善とともに、同社の戦略的対応が成功すれば、再び投資家の注目を集めることが期待される。