世界最大級の技術見本市CESでは、毎年革新的なアイデアが集結するが、2025年のイベントでは特に奇抜なガジェットが話題をさらった。今年のトレンドは「口腔ケア」や「植物との対話」といったユニークなテーマが目立ち、これまでにない独自性を持つ製品が数多く登場した。

子ども用スマート歯ブラシや塩味を電気で感じさせるスプーン、さらに自ら動くプランターまで、実用性に疑問の声が上がる一方で、発想力の豊かさが評価されている。これらの製品は、技術の可能性を示すだけでなく、未来の日常生活に新たな視点を提供するものといえる。

口腔ケアとテクノロジーの融合が示す新たな可能性

CES 2025で注目を集めたWillo AutoFlo Plusは、子ども向けのスマート歯ブラシとして、歯磨きという日常的な行為に技術革新をもたらした。ユーザーがブラシ部分を噛むだけで、機械が歯を自動的に磨く仕組みを搭載し、アプリ連携により使用データを管理することができる。

この製品は、日常の健康管理を支援する次世代のソリューションとして位置付けられる一方、子どもの口元が「エスプレッソマシンのようだ」と揶揄されるデザインが議論を呼んでいる。一方で、このような製品が生み出される背景には、家庭での健康管理の効率化という課題がある。

特に、子どもの歯磨き習慣を効率的に育む手段としての可能性は注目に値する。ただし、デザインや実用性に関するユーザーの声を真摯に受け止めることが、こうした技術の普及に不可欠であろう。テクノロジーが日常生活に浸透する中で、デザインと機能のバランスを取ることが重要といえる。

植物との対話が作る新しい生活スタイル

LeafyPodは、植物の健康状態を「話す」ことで知らせるプランターであり、CES 2025の中でも特にユニークな製品のひとつであった。水やりのタイミングや環境条件の変化をユーザーに知らせるセンサーを搭載し、植物愛好家に新たなインタラクション体験を提供している。

さらに、植物を動かす電気仕掛けの機能は、単なる装飾品を超えた存在感を空間に与えるものである。この製品は、都市化が進む中で自然とのつながりを求める人々にとって、現代的なソリューションとなる可能性を秘めている。

特に、忙しい生活の中で植物の世話を簡略化することは、生活の質を高める一助となるだろう。ただし、植物を動かす仕掛けが本当に必要なのかという疑問も残る。この技術がどのように進化し、どの層に受け入れられるかが、今後の市場展開の鍵を握るであろう。

実用性か遊び心か 新しい家庭用ロボットの可能性

Saros Z70ロボット掃除機は、「靴下を拾う」という独自機能を備え、スターウォーズのドロイドを彷彿とさせるデザインで話題となった。家庭用ロボットとしては珍しいこの機能は、日常生活の中で小物の管理を手助けする新たなアプローチを示している。

一方で、この機能がどれほど実用的かという点には疑問の声もある。価格や耐久性が普及の鍵となることは間違いないだろう。家庭用ロボット市場では、実用性と遊び心のバランスが求められている。Saros Z70のような製品は、家庭内の快適さを向上させるだけでなく、家族全体で楽しめるエンターテインメント性も兼ね備えている。

この分野がさらに発展することで、生活の中に技術がもたらす新しい価値が広がることが期待される。特に、日本国内での需要拡大にも注目が集まる分野である。