暗号資産市場は2024年初頭、米国債利回りの急上昇とドル高に直面し、厳しい調整局面を迎えた。ビットコインは一時10万ドルに迫る勢いを見せたが、米国連邦準備制度理事会(FRB)の慎重な金融政策と強力な経済データを背景に、そのラリーは急速に失速。30日間で約6%のマイナスリターンを記録している。
米国債利回りが14か月ぶりの高水準に達し、成長志向のリスク資産に売り圧力がかかる中、デジタル資産市場の脆弱性が浮き彫りとなった。ナスダックとの相関が64%と高いビットコインは、さらなる触媒を模索している状況である。ウォール街では主要指数が軒並み下落する中、トランプ政権下での政策変更が暗号資産市場にどのような影響を与えるか注目される。
米国債利回りの急騰がリスク資産に与える影響
米国債の利回りは30年物が14か月ぶりの高水準に達し、10年物国債も4.70%近辺に迫った。この利回り上昇は、米国経済の堅調な回復を示す一方で、リスク資産には逆風として作用している。特に暗号資産市場では、ビットコインが10万ドル目前から大幅な調整局面に突入した。
Monetaeのエロイサ・カデナス氏は「米国債利回りの上昇は流動性を減少させ、伝統的金融商品の魅力を高める」と指摘する。この動きはデジタル資産市場に限らず、ウォール街全体での売り圧力を強めている。これにより、資産クラス間での資金移動が激化し、株式市場と暗号資産市場の双方でのボラティリティ上昇が観測されている。
利回り上昇が金融市場全体に与える圧力は短期的な調整に留まる可能性もあるが、安定的な利下げが実現しない限り、不確実性は続くと予測される。
ビットコインと株式市場の相関性が示す次の展開
ビットコインは株式市場、特にテクノロジー株中心のナスダックとの相関性が依然として強い。Cointelegraphによると、現時点でこの相関性は64%に達している。この動向は、成長志向のリスク資産が市場のセンチメントに大きく依存していることを示している。
Abraのロバート・ウォルデン氏は「デジタル資産は新たな触媒を模索中」と述べ、具体的な要因として米国非農業部門雇用者数や世界的なインフレ率の動向を挙げる。これらの指標は、市場参加者が短期的な投資戦略を見直すきっかけとなる可能性がある。
独自の視点として、株式市場と暗号資産市場の相関が解消されるシナリオを検討する必要がある。新たな規制や政策が進む中、暗号資産がより独立した市場動向を形成する可能性が今後の焦点となるだろう。
トランプ政権の政策が暗号資産市場に与える潜在的な利益
トランプ政権は、暗号通貨支持者を政権内に起用するなど、デジタル資産に友好的な政策を打ち出している。この動向は、ビットコインや他の暗号資産にとって有利な制度的枠組みの確立を期待させる。
スイスのロンバード・オディエのマイケル・ストロベック氏は「金利低下と政策変更がデジタル資産を支援する」との見解を示しており、これが市場の再活性化を促進する可能性がある。ただし、貿易摩擦や財政赤字といったリスク要因が暗号資産市場に及ぼす影響は軽視できない。
一方、FRBの利下げペースが鈍化する中で、政策期待だけでは市場を長期的に支えることは難しいとの指摘もある。独自の見解として、規制環境や政策動向を見極めつつ、新興市場への資金流入が中期的な市場回復の鍵となるだろう。