ドイツ銀行は、テスラの成長を牽引する要因として、ロボタクシーサービスやヒューマノイドロボット「Optimus」に期待を寄せ、目標株価を370ドルから420ドルに引き上げた。完全自動運転(FSD)の技術進展により、テスラは2025年までに車両出荷を15%増加させると予測されている。特にカリフォルニアとテキサスでのロボタクシー展開が成長の鍵となる見通しだ。

一方で、粗利益率への圧力やEV需要の減少といったリスクも懸念材料である。また、Optimusの工場活用計画が進む中、同ロボットの生産拡大も注目されている。これら新たな事業がテスラの評価にどう影響するか、今後の展開が注視されている。

ロボタクシー市場の競争激化とテスラの優位性

ドイツ銀行が評価するテスラのロボタクシー事業は、完全自動運転(FSD)技術を基盤とする革新性が特徴だ。特に、カリフォルニアとテキサスでのロボタクシー展開は、地域の規制環境や既存インフラを考慮した戦略的判断とみられる。一方、ライバル企業も同市場への参入を進めており、ウェイモやクルーズなどの企業がテスラの競争相手として浮上している。これら企業との技術差や市場シェア争いは、今後のロボタクシー市場の動向を左右するだろう。

しかし、テスラが強みを持つのは膨大な走行データとAI技術の応用である。イーロン・マスク氏は、これを武器に市場リーダーとしての地位を確立すると主張している。ドイツ銀行のレポートが示すように、この技術優位性が株価を押し上げる一因となっているが、同時にAI関連の規制リスクが潜在的な課題となる可能性も無視できない。

Optimusヒューマノイドロボットの可能性と課題

テスラが開発を進めるOptimusは、単なる工場内ロボットにとどまらず、多用途での展開が期待されている。具体的には、物流業務の自動化や人手不足の分野での活用が見込まれるが、その実用化には技術的な課題も多い。特に、AIの安全性や高精度な動作制御技術が求められ、市場投入までのハードルは決して低くない。

それにもかかわらず、ドイツ銀行はOptimusがテスラの中長期的な成長に寄与すると評価している。この評価は、現場での効率向上やコスト削減への具体的な貢献が見込まれることを反映している。しかし、こうした可能性が現実のものとなるかどうかは、規制の動向や市場の受容性によって大きく左右されるであろう。

2025年の車両出荷増加予測と収益構造の再考

2025年には、テスラの車両出荷台数が15%増加すると予測されている。この背景には、モデルQを含む新車種の投入や既存モデルの刷新が挙げられる。ドイツ銀行の見解によれば、これにより短期的な収益は安定するものの、価格引き下げやインセンティブが粗利益率を圧迫する可能性が高い。

さらに、テスラは自動車事業の利益率目標を18%未満とし、カーボンクレジットを除いた場合には約14%に低下する見通しである。この数値は、競争環境の激化やコスト削減策の効果が限定的であることを示唆する。独自の考えとしては、利益率改善には新技術や新市場の開拓が不可欠であり、持続的な成長には多角的な戦略が求められると考える。