ウォーレン・バフェットが率いるバークシャー・ハサウェイが、2025年初頭に約94百万ドルを追加投資したVerisignは、.comおよび.netドメインの管理を独占的に担う企業である。同社はインターネット名称と番号の割り当てを行うICANNとの契約を基盤に、安定した収益成長を実現してきた。その成長は過去10年で収益50%増、純利益146%増を達成するなど堅調であり、ドメインの需要や価格の引き上げによって今後も維持されると期待される。
これまで停滞していた同社の株価は、バフェットの追加投資という動向により再び注目を集めている。特に独占的な事業基盤と効率的な資本運用により、株主に高いリターンをもたらしている点が評価される。この背景には、規制リスクの後退や競合ドメインの市場影響が限定的であるという分析がある。個人投資家にとっても、同社の成長余地は大きな魅力といえるだろう。
独占的な事業モデルがもたらす安定的な収益基盤
Verisignは、.comおよび.netというトップレベルドメイン(TLD)の管理権を独占的に保有する企業であり、その地位はインターネット名称と番号の割り当てを行うICANNとの契約によって裏付けられている。この契約には価格の引き上げが年7%から10%の範囲で許容される条項が含まれており、同社は収益を長期的かつ安定的に増加させる仕組みを構築している。
過去10年間で収益は50%以上、純利益は146%増加しており、登録ドメイン数の増加と価格引き上げがその原動力である。さらに、DNSサービスの運用効率が高いことから、設備投資が少なくても事業を拡大する余地がある。こうした点から、Verisignの事業モデルは競合他社に対する優位性を保ち続けているといえる。ただし、同社の独占的な地位には規制リスクが伴うため、政策動向や契約更新プロセスを注視する必要があるだろう。
規制緩和と競争環境が投資判断に与える影響
Verisignに対する追加規制の可能性は、トランプ政権以降の政策の流れにより限定的であると見られている。これにより、投資家は同社の独占的な地位が中期的に維持されると判断しやすくなった。一方、新たなトップレベルドメインが市場に登場しているものの、.comや.netのブランド価値は依然として強く、特に企業がオンラインプレゼンスを維持する上で重要視されている。
こうした状況は、規制リスクの低下と競争リスクの限定性を背景に、Verisignの株価評価に安定感をもたらしていると言える。ただし、独占的地位が維持されることで、将来的に政策の変更や市場圧力が再び高まる可能性も否定できない。そのため、投資家はこの状況を過信することなく、政策動向を注視し続けるべきである。
バリュエーションの再評価がもたらす投資機会
過去5年間でVerisignの株価はほぼ横ばいの状態が続いていたが、その背景には規制リスクへの懸念や成長鈍化への市場の警戒感があった。しかし、安定的な収益成長と1株当たり利益(EPS)の改善が続いている中で、2025年の予測利益に基づくPERが24倍という水準は、成長可能性を持つ企業として魅力的な評価である。
ウォーレン・バフェットが約94百万ドルを追加投資した事実は、同社のバリュエーションが再評価されつつあることを示唆している。ただし、バークシャー・ハサウェイが13.8%の株式を保有している中、さらなる大規模な追加投資が制限される可能性がある点には注意が必要である。一方で、小口投資家はこの成長性に直接アクセスできる立場にあり、インターネット基盤を支える企業としての価値を再評価する好機と捉えることができるだろう。