人工知能(AI)の進化が投資市場を再定義する中、UBSのアナリストが2025年の注目株として挙げたのはデル・テクノロジーズとTDシネックスである。デルはAIサーバー分野での収益拡大が期待されており、TDシネックスはITインフラ事業「Hyve」の成長が注目される。
デルは2024年にインフラストラクチャーソリューション部門の売上が前年比34%増加し、AI需要の増加に伴う将来的な収益拡大のポテンシャルを示している。一方、TDシネックスはQlikとの提携を含むAI戦略の拡大で収益の強化を図っている。
両社は市場で強気の評価を受けており、AI分野での成長性とバランスの取れた戦略的ポジションが注目を集めている。AI革命の中心に立つこれらの企業が、投資家に新たな機会を提供する可能性が高い。
AIインフラ市場を牽引するデル・テクノロジーズの戦略的強み

デル・テクノロジーズは、AIサーバーやネットワーク機器の提供を通じてITインフラ市場で独自の地位を確立している。同社のインフラストラクチャーソリューション部門の売上は前年比34%増の114億ドルを記録し、AI関連の需要が急拡大する中で大きな成功を収めた。この成長は、高性能データセンターやAIアプリケーション向けのハイパースケール技術が市場で評価されていることを示している。
さらに、マイクロソフトのデータセンタープロジェクトやイーロン・マスクのxAI施設への技術提供は、デルがAI分野での中心的な役割を果たしていることを象徴するものだ。これらのプロジェクトは、ハイパースケールデータセンター市場が2025年までに2,200億ドル規模に成長するという予測とも一致し、デルの収益成長に寄与する可能性が高い。
一方で、デルの株価は過去1年間で42%上昇したものの、52週高値から38%下落している。この現象は、市場が同社の成長ポテンシャルを完全に織り込んでいない可能性を示唆するものだ。これにより、現在の株価水準は投資家にとって魅力的な押し目買いの機会となり得る。デルがAIブームを牽引し続ける中、今後も高い注目を集めるだろう。
TDシネックスの提携戦略が示すAIビジネスの可能性
TDシネックスは、AI技術を活用した提携戦略を積極的に推進している。同社はQlikとの連携を通じて北米およびヨーロッパ全域でAI駆動型の分析採用を拡大し、市場でのプレゼンスを強化している。また、IBM、シスコ、アマゾンといったテクノロジー業界の巨人との提携は、進化する技術環境に適応する能力を示している。これらの連携は、同社がAIエコシステムの中核を担うことを目指していることを裏付けている。
さらに、TDシネックスのAIインフラ事業「Hyve」は、同社の成長エンジンとして位置づけられている。この事業は高度なデータセンター技術を提供し、AI市場での競争優位性を高めている。2025年第1四半期には売上が144億~152億ドル、調整後EPSが2.65~3.15ドルと予測されており、これらの数字は同社の収益基盤が堅固であることを示している。
しかしながら、現在の株価は先行PER11.47倍という低い評価水準で取引されており、市場が同社の成長ポテンシャルを十分に評価していない可能性がある。この点については、アナリストの平均目標株価が現在の価格から6%上昇すると予想していることも注目に値する。同社の戦略的提携と成長分野への集中は、今後の収益向上に寄与する可能性が高い。
AI関連銘柄がポートフォリオに与える影響
デル・テクノロジーズとTDシネックスは、それぞれ異なる角度からAI市場での成長を目指しているが、共通しているのはAI技術を中核に据えた戦略を展開している点である。両社の成功は、AIエコシステムが投資家に与える影響の大きさを示している。
デルのITインフラ市場でのリーダーシップやAIサーバー事業の成長は、企業やデータセンター向けソリューションが市場で需要を集めていることを物語っている。一方で、TDシネックスの提携戦略やHyveの成長は、AI技術を活用したITインフラの進化を示している。これにより、両社はAI市場での異なる役割を補完し合う存在となっている。
投資家にとって重要なのは、これらの企業がAI革命を背景に長期的な価値を提供する可能性が高いという点である。デルとTDシネックスが示すように、AI関連銘柄は短期的な利益だけでなく、長期的な成長の機会を提供する魅力的な選択肢である。