Samsungは2025年に、初の「三つ折り」スマートフォンを含む4種類の折りたたみデバイスを市場に投入する計画である。この「三つ折り」デバイスは9.9~10インチの大画面ディスプレイを備え、従来モデルを超える視覚体験を提供するとされている。

また、ラインナップにはGalaxy Z Flip 7、Galaxy Z Fold 7、そして低価格帯のGalaxy Z Flip FEも含まれる。競合のHuaweiがMate XTの発売で先行する中、Samsungは市場の成長が停滞気味である現状に挑戦する意図を明確に示している。

特に「三つ折り」モデルは年間生産台数20万台という計画が示すように、大量販売を目指すものではなく、折りたたみ市場における革新性とプレミアムな価値を強調している。

折りたたみ技術の進化がもたらす新たな可能性

Samsungが開発を進める「三つ折り」スマートフォンは、折りたたみ技術の限界を押し広げる革新的なデバイスといえる。このデバイスは、従来のGalaxy Z Foldシリーズよりも大画面で、フルオープン時には9.9~10インチに達する。

これにより、動画視聴や資料閲覧といった用途においてタブレットのような体験を提供する可能性が高い。さらに、2つ目のヒンジの導入が折りたたみの形状に柔軟性をもたらし、持ち運びや利便性を向上させる設計が期待されている。

一方で、このデバイスが狙うのは単なる市場シェアの拡大ではなく、ブランドとしての技術力と革新性を強調することにある。Samsungはこれまでにも、折りたたみデバイスの市場で先行者としての地位を築いてきた。

競合のHuaweiがMate XTを先行発売したことで市場に新たなプレッシャーが生じているが、「三つ折り」の大画面化と新しいユーザー体験の提案は、Samsungが技術革新で競争をリードし続ける姿勢を示している。

低価格モデルGalaxy Z Flip FEの戦略的意義

Samsungは「三つ折り」に加えて、低価格帯の折りたたみデバイスGalaxy Z Flip FEも投入する計画である。折りたたみ技術の普及が進む中、価格の高さが市場拡大の障壁となっている現状において、Flip FEは重要な役割を果たす可能性がある。

従来のFlipシリーズが主にプレミアム層をターゲットとしてきたのに対し、FEモデルは幅広い層に手が届く価格帯で提供されると見られる。これにより、折りたたみデバイスの魅力をより多くのユーザーに体験させることができるだろう。

また、低価格モデルの投入は、Samsungが製品ラインナップの多様化を図りつつ、競合他社との差別化を図る戦略の一環でもある。特に、Appleが折りたたみ市場に参入していない現時点では、Samsungがエントリーモデルとプレミアムモデルを並行して展開することにより、折りたたみ市場のリーダーシップをさらに強固なものとすることが期待される。

技術革新の裏側に潜む課題と市場の現実

技術革新が進む一方で、折りたたみ市場が直面する課題も見逃せない。Samsungが計画する「三つ折り」デバイスの生産台数は年間20万台とされており、これは市場全体における大規模展開を目指していないことを示している。

折りたたみデバイスの生産には高度な技術が求められるため、コストが高くなることが主な理由と考えられる。また、耐久性やヒンジの精度といった品質面の課題も残されており、これらが新規ユーザーの獲得に影響を与える可能性もある。

一方、競合のHuaweiや他メーカーの動向にも注目が集まる。9to5Googleの報道によれば、HuaweiはすでにMate XTを市場に投入しており、技術的な完成度と製品の実用性で評価を得ている。Samsungは競争を激化させる中で、技術だけでなくブランド力やユーザーエクスペリエンスをどのように高めていくかが鍵となるだろう。

Source:9to5Google