ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイは、2023年中にゼネラルモーターズ(GM)の株式をすべて売却した。しかし、その後GMの株価は55%以上上昇し、同社は堅調な事業成績と株主還元策を通じて、市場での存在感を高めている。2024年第3四半期決算では予想を大きく上回る業績を達成し、2025年も安定した成長が見込まれる。

加えて、GMは電気自動車分野での拡大、中国市場での販売増加、そして自動運転技術の戦略転換により競争力を強化している。さらに、積極的な株式買い戻しプログラムにより株主価値を高めつつ、株価は依然として割安感が際立つ状況だ。バフェットの売却理由は不明だが、GMの成長性を見落とした可能性が浮かび上がる。

GMの電気自動車戦略と市場拡大の実態

ゼネラルモーターズ(GM)は電気自動車(EV)市場で積極的な拡大を進めている。同社は直近の発表で、EVの販売台数が前年比で倍増し、市場シェアを拡大したことを明らかにした。特に中国市場では第4四半期の販売台数が40.6%増加し、EV需要の増加に伴う成長を示した。こうした成果は、GMが継続的に行っている電動化への大規模投資と、製品ラインの多様化によるものである。

さらに、GMは競争激化するEV市場で優位性を保つため、Cruiseの自動運転事業を見直し、Super Cruise技術を個人向け車両に展開することで、年間10億ドル以上のコスト削減を見込んでいる。この動きは、長期的に収益構造を改善する可能性を秘めている。これらの施策は、同社が「伝統的」自動車メーカーから革新を目指す姿勢を明確に示している。

一方、これらの戦略が収益性にどれほど貢献するかは依然として未知数である。特に、電池供給網やインフラ整備における課題が短期的な成長を制約する可能性がある。GMがこうした障害を克服し、持続的な競争力を確保できるかどうかが、今後の焦点となるだろう。


株主還元策と株式価値の評価

GMは近年、株主への還元を重視した取り組みを強化している。その象徴的な施策が株式買い戻しプログラムである。同プログラムにより、同社の発行株式数は約21%減少しており、株主価値の向上が明確に進んでいる。実際、買い戻し発表以降、GM株は40%以上上昇しており、投資家からの評価も高い。

加えて、GMの株価収益率(P/E)は直近12か月の利益で5.5倍、将来の利益予測では5.1倍と非常に割安である。この水準は、同規模の自動車メーカーやEV専業メーカーと比較しても魅力的であり、投資機会としてのポテンシャルを示している。特に、2025年の目標達成や成長計画の成功により、さらに株主還元が進む可能性がある。

しかし、こうした株式還元策が長期的な成長にどう影響を及ぼすかは議論の余地がある。過度な買い戻しは、研究開発や新規市場参入に必要な資金を制約するリスクも含むため、戦略のバランスが求められる。GMが収益向上と株主価値の両立をどのように実現するのか、その動向に注目が集まる。


バフェットの決断とGMの可能性

ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイがGM株を売却した理由は明らかにされていないが、同年の市場環境が影響した可能性が高い。特に、新車需要の減少予測や自動車労働者のストライキによる影響が、リスク要因として評価されたと考えられる。実際、GMはストライキによって約8億ドルの損失を被ったが、その後の業績回復は迅速であり、懸念材料を払拭している。

一方で、GM株の急上昇を踏まえると、バフェットが売却のタイミングを見誤ったと指摘する声もある。同氏はこれまで長期的な視点での投資判断で成功を収めてきたが、今回のケースでは短期的なリスクを過大に評価した可能性が浮かび上がる。

GMは現在、市場で最も割安な株式の一つとされるが、その評価が維持されるかは同社の戦略実行能力にかかっている。バフェットの売却が結果的にGMの成長を見逃す形になったのか、それとも予期し得ないリスクを回避した賢明な判断だったのか、結論はまだ出ていない。

Source:The Motley Fool