Super Micro Computer(SMCI)は市場全体の下落基調にあるものの、Loop Capitalが株価上昇の可能性を示唆する強気なレポートを発表した。同社はNvidiaの次世代拡張プロジェクト「Blackwell」に関連したSMCIの戦略を高く評価し、目標株価を35ドルから40ドルへ引き上げている。しかし、アナリストのバルア氏は2025年前半に混乱が予想されると警告し、目標株価到達までの課題を指摘している。

一方、Hindenburg Researchによる会計不正疑惑が同社の信頼を損ない、2024年度の財務報告遅延や監査法人の辞任などが市場での懸念を増幅させた。これにより株価は一時急落したが、同リサーチ機関の閉鎖が短期的な回復をもたらしている。2月に予定された業績発表やNASDAQ上場維持に向けた動きが、今後の評価を左右する重要な局面となるだろう。

SMCI株は過去1年間で26%以上の下落を記録し、変動幅は狭まりつつある。今後の方向性は市場の注目を集めている。

Nvidia「Blackwell」拡張の背景とSMCIの戦略的役割

Nvidiaが進める次世代GPU「Blackwell」拡張計画は、AIやデータセンター市場の進展を見据えたものとされる。このプロジェクトに関連して、Super Micro Computer(SMCI)は重要なパートナーとして位置付けられている。Loop Capitalのレポートによれば、SMCIはNvidiaのTier 2顧客への製品供給で大きな役割を果たし、これが同社の成長戦略の柱となると指摘されている。

特に5月から6月にかけてTier 2顧客への製品割り当てが開始されることが予想されており、これはSMCIの売上に直接影響を与える可能性が高い。一方で、拡張計画における供給の遅延や顧客の購入パターンの変化が課題として浮上している。こうした点はNvidiaの計画全体にも影響を与える可能性があり、SMCIの動向は業界の注目を集めている。

独自の視点から見れば、AI技術の拡大が進む中で、SMCIが果たす役割は単なる供給パートナーを超えている。データセンター向け製品のカスタマイズや性能の最適化が、SMCIの競争優位性を左右する可能性がある。したがって、今後の「Blackwell」プロジェクトの進展次第では、同社の市場価値がさらに見直されることが期待される。

会計不正疑惑とNASDAQ上場維持の行方

SMCIが直面する課題の一つは、Hindenburg Researchによる会計不正疑惑である。この指摘により、同社の株価は一時的に急落し、監査法人であるアーンスト&ヤングの辞任や財務報告の遅延が市場での信頼を大きく損ねた。これらの問題はNASDAQ上場廃止の可能性を高め、同社にとって極めて重要な課題となっている。

同社が目指す上場維持の鍵は、2月に予定される四半期業績発表にあるとされる。この発表で財務健全性や成長見通しを示せるかどうかが、投資家の信頼回復につながるかを左右するだろう。また、短期的な株価上昇は、Hindenburg Research閉鎖に伴うショートポジション解消が要因であり、根本的な課題解決には至っていない。

筆者の見解として、これらの課題を克服するためには、SMCIが透明性の向上と信頼回復に向けた具体的な施策を示す必要がある。さらに、NASDAQ上場廃止の回避は企業価値の維持に直結するため、2024年度の財務報告と監査体制の改善が急務といえる。

株価変動と市場の期待が示す今後の展望

SMCIの株価は過去1年間で26%以上下落しており、昨年3月に記録した高値から72%減少している。ボリンジャーバンドが大幅に縮小していることは、市場が同社の株価動向を慎重に見守っていることを示している。特に短期的な急騰後の狭い価格範囲での推移は、次の大きな値動きへの期待感を裏付ける。

こうした状況下、Loop Capitalをはじめとする一部のアナリストが「買い」評価を維持している点は注目に値する。同時に、大手証券会社が「ホールド」評価を維持する背景には、不確実性への警戒感がある。市場は、Tier 2顧客への供給開始や財務報告の進展を材料に、SMCIの価値を再評価する可能性がある。

筆者の視点からすれば、AIやクラウドコンピューティング市場の成長が続く中、SMCIの技術力と市場でのポジションは見直されるべきである。ただし、信頼回復と株価上昇が直結する保証はなく、リスクを伴う投資である点を見落としてはならない。

Source:Barchart.com