半導体業界で注目されるSuper Micro Computer(NASDAQ: SMCI)は、2025年初頭に株価の回復基調を見せたが、過去6か月間で52.12%の下落を経験した。同社は会計不正疑惑や内部統制の問題を巡る混乱を経て、監査体制の改善やコンプライアンス回復に取り組んでいる。この努力は、同社の持続的な成長に向けた重要な基盤となり得る。

Loop Capitalのアナリスト、アナンダ・バルア氏は、SMCI株の目標株価を35ドルから40ドルに引き上げ、19.72%の上昇を予測している。この背景には、Nvidia(NASDAQ: NVDA)のGB200およびGB300製品ラインとSuper Microの特化サーバーソリューションとの相乗効果がある。同社は重要市場での地位を強化し、2025年後半には1株あたり利益が4ドルに達すると見込まれているが、上昇への道のりは容易ではない可能性も示唆されている。

SMCIの課題と回復への取り組み

Super Micro Computer(SMCI)は、Hindenburg Researchによる会計不正の疑惑提起から始まる混乱を経て、内部統制の改善に向けた一連の取り組みを進めている。特に、Ernst & Youngが監査業務から撤退したことは市場に大きな影響を及ぼしたが、BDOを新たな監査人として採用することで、同社は透明性を確保しつつ信頼回復を目指している。また、司法省(DOJ)の調査進行というプレッシャーの中、年次報告書の提出遅延にも対応し、企業体制の再構築に注力している。

これらの対応は、市場における同社の信頼を取り戻すための不可欠なステップである。ただし、これまでの下落幅が示す通り、株主心理に与えた影響は甚大であり、信頼の完全な回復には時間を要する可能性がある。一方で、これらの試みは、将来的な成長の土台を築くものであり、株価の長期的な安定と上昇の可能性に繋がると考えられる。


Nvidiaの製品展開がもたらす戦略的影響

NvidiaのGB200およびGB300(Blackwell)製品ラインの投入は、Super Microのサーバーソリューションにとって戦略的な追い風となる。これらの製品は高性能なAI処理に適しており、特にクラウドサービスプロバイダー(CSP)を中心とした需要の高まりが見込まれている。Loop Capitalのアナリスト、アナンダ・バルア氏も指摘する通り、これらの市場動向はSuper Microの製品にとって重要な差別化要因となる。

しかし、Nvidia製品の普及が本格化するのは2025年の中盤以降になると予測されている。これにより、Super Microは短期的には「ぎこちない」展開を経験する可能性があるが、長期的には製品需要の増加と市場シェアの拡大に繋がるであろう。同社がこの機会をどれだけ効果的に活用できるかが、株価の上昇に大きく寄与する鍵となる。


PERとEPSが示す株価上昇の可能性

Loop Capitalが提示した目標株価40ドルは、10~11倍の株価収益率(PER)と2025年後半の1株あたり利益(EPS)4ドルを基準に算出されている。この数値は、同業他社と比較しても十分に現実的であり、Super Microが完全なコンプライアンス回復を果たした際に実現可能な目標であるとされる。

一方で、この目標値は市場の安定や外部要因の影響を受ける可能性があり、直線的な達成は困難と見られている。短期的な価格変動を経つつも、長期的には同社の事業基盤が強固な収益性を提供するであろうという市場の期待が反映されている。このことから、現時点の株価33.41ドルは、投資家にとって依然として魅力的なエントリーポイントである可能性が高いといえる。

Source: Finbold